2015年度の研究では、中学生(対象:筑波大学付属駒場中学・海老名市立海老名中学:計約720名)にこれまでの調査と同様な様相が見られるや否やについて検証し、加えてヘモグロビン測定器を用いた調査を中心とした活動が教育的に有効であるかどうかについても検証した。その結果、これまでと同様に高校生ほどではないが生活習慣の乱れやそれに起因する不定愁訴などの漸増(「体がだるい・疲れやすい」:中1で40.9%→中3で49.6%、「何もする気にならない」:17.1%→30.3%)が見られた。しかし、ヘモグロビン測定値においては基準値を下回った生徒は男子で約13%、女子で約16%であり、生活習慣の悪化が健康状態に表れるのは高校期であることが推測できた。そこで、2015年度は調査対象を拡大して高校生についての調査も実施したところ、これまでと同様に貧血傾向の生徒が多く存在し、なおかつ学校差も大きくなることが確認された。さらに大学生に対する実験的な生活習慣や健康度の改善の取り組みも実施した。取り組みの例としては、生徒主体の保健委員会によるヘモグロビン測定イベント、養護教諭主導の運動部活動生徒対象の測定と啓蒙活動、自治体との連携事業としてフェスティバルでの測定活動、学年行事としての測定活動、大学生においては授業を中心とした健康教育活動、運動部に対する継続的コンディショニングサポート活動、これら教育機関における講演などの啓蒙活動などを行い、生活習慣の改善、健康状態の向上、競技力向上などの成果が得られた。以上より、こうした調査活動を通した健康教育は教育機関において有効であることが判明し、今後、測定機器の有効利用と教育機関における設置が重要と考えられた。
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