合気道の基本技術要素間の時間的連関性についてバイオメカニカルな手法によって検討した。主な結果は以下のようになる。1)片手取り呼吸法では上級者(3段から6段)、中級者(初段)の多くに足の踏みかえと腕の拳上に合わせて息を吐き、次いで息を吸う様相が観察された。他方で、上級者の肘の屈曲は相対的に小さかったが、中級者では腕の挙上中に肘を曲げ、さらに伸ばす様相がみられた。これらの要因が受けから取りへのエネルギー伝達に影響していると考えられた。2)「転換」を検討した結果、4段から7段の者では初段以下の者に比べ、初動時に重心の沈み込みが小さい、軸足の小さい面積しか踏みつけないなどの下肢動作に特徴があった。
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