本研究では,カリキュラム・ポリティクスの視点から体育学習における「競争―協同」,及び「体つくり運動」がどのように解釈され,カリキュラム構成され,授業―学習として実践されるのか,さらに学習者がどのようにそれらを受け止め,内面化していくのかについて,事例的に検証した. その結果,地方教育行政や学校体育においてスポーツの競争性や体力の序列化が強調される傾向がローカル・ポリティクスとして認められた.また,それらのポリティクスは,女性のスポーツ離れなど,たくましさや競争の世界に違和感や居心地の悪さを感じる人々をスポーツから離脱させ,周辺化させる働きを持つことが推察できた.
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