研究課題/領域番号 |
25350725
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
伊藤 豊彦 島根大学, 教育学部, 教授 (20144686)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 体育学習 / 動機づけ / 自己決定理論 |
研究実績の概要 |
平成26年度において、本研究の主題である動機づけ方略、すなわち、体育教師が日常の指導場面で用いる多面的な働きかけが児童・生徒の動機づけに及ぼす影響を検討する上で重要となる理論的枠組みに関する検討を試みた結果、現在の代表的な動機づけ理論である自己決定理論から、教師行動としては教師の行う自律性支援行動が、児童・生徒の側からは、教師の自律性支援行動によって影響を受ける基本的心理欲求の充足の程度がそれぞれ重要であることを明らかにした。 これを受け、平成27年度は、まず、調査協力の得られた中高生を対象に、指導者(教師)の支援的行動、心理欲求(の充足)、動機づけ、バーンアウト傾向から構成される質問紙調査を実施し、心理欲求充足のパターンとそれらの関連を検討した結果、心理欲求を充足している生徒ほど内発的な動機づけが高く、バーンアウト傾向が低いことが明らかとなった。さらに、生徒の心理欲求は教師が支援的行動を行うほど充足される傾向にあることを見出し、自己決定理論の有効性を確認した(この研究成果は雑誌論文1で公表した)。 これを受け、生徒の心理欲求の充足と動機づけに影響する指導行動を特定するために、質問紙調査を行った結果、教師の行動は、関係性・有能さ支援行動、自律性支援行動といった生徒にとってポジティブな行動に加え、統制的行動、関係性阻害行動、および自我関与行動といったネガティブな行動も含めて5つの成分から構成されることが明らかとなり、それらの指導行動の類型化分析から、指導者から自律性支援的な指導を受け、統制的な指導を受けていないと認知する生徒の動機づけが最も高く、指導者からの自律性支援的な指導が少なく、統制的な指導を受けていると認知している生徒の動機づけが最も低いことが明らかとなった(この研究成果は、雑誌論文2及び研究発表1で公表した)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度実施予定の調査研究と成果発表をほほ終えることができた一方で、実践研究の協力校との関係から準備態勢にやや遅れが生じ、最終年度に行うこととなったため。
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今後の研究の推進方策 |
体育授業場面を対象とした実践研究の準備態勢の強化に努め、これを円滑に実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査旅費に関して、概算で請求したが、清算後の実費と差額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
論文別刷の費用に充当する予定である。
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