研究課題/領域番号 |
25350729
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 勉 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (30452923)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 動機づけ / やる気 / 意欲 / 無意識 / 非意識 / 感情誤帰属手続き / 潜在指標 / プライミング |
研究実績の概要 |
本研究は,運動に対する動機づけの無意識的な活性化を実証するものである.26年度は,動機づけの潜在指標を発展させると共に,閾上プライミングにより運動行動が自動的に活性化することを実証する実験を行った.本年度に実行した研究実績は,まず,昨年度,感情誤帰属手続き(AMP)による潜在的な動機づけ尺度を作成し,運動中の心拍数と中程度の相関があることを明らかにしたことを26年8月に日本体育学会にて発表した.この研究結果については,学会誌へ投稿すべく,論文執筆中である.また,現在も,このAMPを使用しながら他の実験を行っているところであるが,新しいAMPの開発にも取り組んでいる.次に,乱文構成課題という閾上プライミングの手法を用いて,運動行動の自動的な活性化の実験的研究を行った.これは,交付申請書に記載した研究実施計画に沿っているものである.実験内容は以下の通りである.被験者全員に心拍計を装着してもらい,その後,実験群と統制群のそれぞれに異なった乱文構成課題を実施してもらった.乱文構成課題終了後,自転車エルゴメータ運動を快適自己ペースによって10分実施してもらった.心拍数は,リアルタイムで1分毎に記録した.結果は,実験群の心拍数は統制群よりも,運動開始後,2分後から10分後までの間,常に高い心拍数を示していた.なお,実験終了後に被験者に実験の目的を知っているかを確認したところ,実験の意図に気付いていた被験者はいなかった.有意な差にならないのは,実験群と統制群それぞれ10名程度という小さいサンプルサイズであったことに問題もあるが,実験環境や実験課題にも問題がないとは言い切れない.何を改善するべきかは理解できるため,現在,最終年度の実験課題を作成している.最終年度も予定通りに研究を進められそうである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の目的を達成するための課題に取り組んでいること,研究実施計画通りの内容を実施していることから,(2)おおむね順調に進展していると評価できる.研究計画書には,運動に対する動機づけが無意識的に活性化されたことは、実験群が統制群よりも高い心拍数を示すことと、被験者が乱文構成課題の意図に気付いていないことで実証されると記したが,おおよその結果を得ることができている.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書には,27 年度の実施内容として,「環境要因に関する言葉によって動機づけの無意識的な活性化を実証する」とある.実験の方法や手順は26 年度と同じになるが、27 年度は乱文構成課題の内容が異なる。体育心理学の先行研究では動機づけにおける個人要因に関する言葉のみが実証されたが、実践的な視点からすると、個を取り巻く環境要因の影響は切り離せない。そこで本研究では環境要因に関する言葉(指導者や仲間の言動を表す言葉)で作文する課題を実施する。この点は,本研究のオリジナリティであるため,是非とも成功させたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
70円の次年度使用額が生じた理由は,文具等を購入するにも小額であったため,無理には使わずに,次年度へ繰り越そうと判断したためである.
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次年度使用額の使用計画 |
27年度の研究費使用計画については,2回の学会発表のための旅費,実験に使用する消耗品,データ入力補助の人件費等に使用することを考えている.また,パソコンを使った実験も計画する予定であるため,経費を節約し,業者委託による実験プログラムを作成することも考えている.
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