研究課題/領域番号 |
25350730
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
押野 修司 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80315712)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全身反応時間 / 反応開始時間 / 協調運動の困難さ |
研究概要 |
本研究の目的は、協調運動に困難さのある児童を対象に、光刺激による全身反応時間(JRT)および筋電図による反応開始時間(PMT)を測定し、基準になるデータと比較・分析することによって、その特徴を明らかにし、その臨床応用の可能性を検討することである。 被験児は、保護者と児童本人から研究参加の同意が得られた小林-Kiphard BCTにより協調運動に困難があると判定した児童9名とした。男児は8名平均年齢10.1±1.3歳、女児は1名で11歳であった。診断は、アスペルガー症候群2名、口唇口蓋裂・注意欠陥・多動性障害(ADHD)の疑い1名、診断を受けていない児童は6名であった。 測定項目は、全身反応時間(JRT)、反応開始時間(PMT)とし、JRTの測定には、竹井機器工業製の全身反応測定器II型を使用した。PMTの測定には、筋電位の導出が必要であったため、全身反応測定器に筋電図計測システム(電極、バイオアンプ、AD変換器)からの入出力を可能とする外部出力特注版を増設して行った。測定肢は、利き側の下肢とし、測定肢の前脛骨筋に表面電極を貼り付けた。測定は練習試行を3回行い、その後本試行を5回行った。 その結果、JRTと基準値との比較では、男児は、平均388.9±45.0msec、また、女児は、339.7msecであった。男児は基準値との比較では時間の延長がみられた(p<.01)。PMTと基準値との比較では、男児は、平均196.2±46.1msec、女児は、209.0msecであった。男児、女児とも基準値との比較では有意な差は認めなかった。 全身反応時間は、男児に延長がみられたことについては、先行研究の結果を支持していると考えられる。反応開始時間には、延長や短縮がみられなかったことから、光刺激の入力から大脳皮質での刺激の認知、処理過程以降の筋活動発現までの時間の延長が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象児は9名と少ないながらも、結果に有意な差がみられている。
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今後の研究の推進方策 |
全身反応時間および反応開始時間の関係で、対象児の敏捷性評価を考えてゆくこと。 運動困難の判定にムーブメントABCの使用を検討すること。 測定に際し、静止姿勢を一定時間とることと、100msec以下の場合には、測定しなおすこと。 身長と反応時間の関係があると言及している文献があるので、測定しておくこと。 IQについても可能であればデータをいただく方向を考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
測定機器が予想より安価に購入できたことや、当初予定した被験者よりも人数が少なかったことによる。 購入備品により、より被験者の方に有益な運動プログラムを計画する。
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