本研究は、協調運動の困難さを示す児童の学校生活の質、協調運動能力、運動技能の側面から把握・分析し、運動技能獲得への示唆を得ることを目的とした。対象は、研究1では発達障害・情緒障害通級指導教室に通う、8歳から12歳の児童12名、研究2ではそのうち、協調運動に困難がみられる9名とした。研究1は協調運動検査と学校生活の質、研究2では協調運動能と光刺激による全身反応時間、反応開始時間を調べた。協調運動検査は小林-Kiphard BCT(小林ら、1989)の運動指数を用い、学校生活の質は、学校生活の質チェックリスト小学生版(表ら、2008)を用いた。研究2は、竹井機器工業製の全身反応測定器Ⅱ型と筋電計測システム(PowerLab、ADInstruments社製)を組合せ、データ収録システムを使用し実施した。 本研究の結果は以下のとおりであった。 1)協調運動能力については、12名中9名の児童が低下していた。 2)学校生活の質チェックリストでは、「Q15先生は私の事をよく分かってくれている」のみ標準値より評定値が高い傾向がみられた。協応性の異常あり群で合計点のみ、評定点が低い傾向がみられた。 3)全身反応時間は、平均383.4±45.2msec、反応開始時間は平均197.6±43.4 msecであり、男児は基準値との比較では時間の延長がみられた(p<.01)。 4)各運動指数と全身反応時間、反応開始時間の間には相関は見られなかった。
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