研究課題/領域番号 |
25350733
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
久保 正秋 東海大学, 体育学部, 教授 (30119672)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感性教育 / 身体教育 / 体験活動 / 意味生成 |
研究概要 |
本年度は研究計画に従って、課題1.「感性」に関する理論、「感性教育」に関する理論の検討、課題2.「感性教育」の実態調査を行った。課題1に関しては、従来の「客観的・量的時間」ではなく「垂直的時間」と呼ばれる時間認識に基づいて「感性教育」を捉え直すことを試みた。その結果、以下の点が明らかとなった。 1)「客観的・量的時間」は「現在」から「未来」へと直線的に連続して続いている。そして現在という時間は目的(未来)を達するための手段となる。同様に感性教育における身体的体験も結果の生産のための手段となる。身体的体験は、その体験の今(現在)、感じていることよりも、その後に生じる、何らかの功利的な事項を生み出す結果の手段と化してしまう。2)感性教育において「垂直的時間」という時間認識は重要である。何故ならば、その身体的体験の瞬間に、意味が生成し、感性を育むことができるからである。身体的体験の瞬間(現在)が本質であり、結果(未来)のための手段ではない。以上の理論的考察を身体教育という観点から纏め、体育哲学研究に投稿し、受理された。 課題2に関しては、現状の「体験活動」プログラムにおいてどのような「感性教育」が生起しているかの実態を調査した。その結果、多くの「体験活動」プログラムが、その体験の結果としての何らかの効果を求めることに重点を置き(例えば、田植え体験において求められているのは食物や農家に対する感謝などであり、素足で泥の中に入る、あの何ともいえない感覚は注目されない)、「客観的・量的時間」に支配されている現状が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献を中心とした理論的検討は予定以上に進展しているが、現状の体験活動プログラムの調査、分析が若干、遅れている。研究全体としては順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
文献による理論的検討は今後も同様に継続する。現状の体験プログラム調査に関しては、国内のみならず国外も視野に入れて、典型的な事例の調査を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
理論的検討の進展を優先したために、体験プログラムの実態調査の時間をとることができなかったため。 国外を含めた実態調査を今年度以上に行う。
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