本研究では「スポーツ原体験」がその後のスポーツに対する価値観や態度の形成にどのような影響を及ぼしているかについて検討した。まず、わが国のトップアスリートの自伝本の分析では、彼らの原風景は運動要素を含み、後年の競技への取り組みやアスリートとしての特徴との重なりがみられ、競技への個性的な取り組みを通した個性化(生き方)へのつながりが窺われた。続く競技力やセカンドキャリアが異なる一卵性双生児アスリートの事例では、原風景やスポーツ原体験、重要な他者の影響や進路決定時における双生児間の関わり等から両者の歩みを視覚化し検討したところ、両者の差異の背景には自伝的記憶への意味づけの違いの影響が考えられた。
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