研究課題
本研究では,日本の伝統芸能における「間」がどのように生成され,それが文脈や状況に応じてどのように変化するかを,科学的,総合的に解明し,最終的に「伝統芸能における間とはどのようなものか」を体系化することを目的としていた.具体的には日本舞踊家の身体技法をデジタル技術を用いて計測し,動作分析,視線分析,映像分析の手法を用いて,舞踊家によって生成される「間」の諸相を学際的なアプローチによって総合的に考察することを目指すものであった.研究機関全体の目標は,伝統芸能における「間」の生成メカニズムの文脈・状況依存性を,身体動作や視線など,客観的に測定しうる物理的特徴量と,舞踊家自身が主観的に感じる時間感覚との関係性の中で明らかにし,最終的に「日本の伝統芸能における間とはいかなるものであるか」を浮き彫りにすることである.前年度,育休取得により,実施できなかった実験を実施した.具体的には,日本舞踊家(いずれも花柳流)4名に,演目「北州」を複数回踊ってもらい,その様子をデジタルビデオカメラ4台とモーションキャプチャにて収録した.北州を実験演目に使用したのは,特に大がかりな舞台装置や小道具を使用せず,華美な衣装も着用しない素踊りであることと,さらに当該演目が花柳流師範試験の課題曲となっているためである.実験では習熟度の異なる舞踊家に同一演目を踊ってもらい,動きと,動きをつなぐ間の相違を定量的に比較分析した.現時点では,すべての分析が終了しているわけではないが,もっとも熟練度の高い舞踊家の分析結果では,師範試験で要求される「型」通りの動きと,自身が舞台で演じる自由な動きの間に差違が見られた.とりわけ,試験用に意識して踊る動きは安定性が低い一方で,舞台用に演じる動きは複数回踊っても,動きそのものが極めて安定的であることが明らかとなった.
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