研究課題/領域番号 |
25350751
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
齋藤 健司 筑波大学, 体育系, 教授 (80265941)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スポーツ / 憲法 / スポーツ法 / 人権 / 権利 |
研究実績の概要 |
スポーツに関する憲法規定について、英語文献、特定国の憲法関係文献、憲法の国際比較研究文献などを中心に資料収集を行った。特に、International encyclopedia of lawシリーズの憲法とスポーツ法の文献及び資料を検討した。 これまでのスポーツに関する憲法規定を分析し、諸規定の内容を分類すると、1.基本的人権に関する規定(スポーツそのものの権利の場合とその主権利の一部の場合がある。また自由権的側面と社会権的側面の規定がある。)、2.国家のスポーツ推進の責務・請求権または社会権的規定(大きく、スポーツそのものの推進とその他の主目的推進のための手段としてのスポーツの推進の場合)、3.特定の人または団体に適応される権利(競技者の保護、青少年または子どもの保護、プロスポーツ選手の保護、国とスポーツ団体との連携協働)、4.特定の行為または事物に適用される規定(暴力の防止、施設の建設、スポーツ紛争の解決)、5.中央政府と地方政府との間の権限配分におけるスポーツの位置、6.一般の憲法規定に関するスポーツとの関連のある権利(平等権、身体の健全性、結社の自由または自律、表現の自由、勤労者の保護・休息権、財産権の保護、健康権、教育権、取引の自由)、7.スポーツに関連する国際法と国内憲法との関係などに分けることができた。 また、特に、ポルトガル憲法、スイス憲法、ブラジル憲法、キューバ憲法、スペイン憲法、トルコ憲法について、英語文献を中心に主規定を分析した。 研究成果については、齋藤健司:スポーツと法体系.21世紀スポーツ大事典.大修館書店,2015、84-87頁に一部スポーツに関する憲法規定の動向を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
諸外国ではスポーツ法の体系が憲法秩序に基づき整備されていると考えられるが、日本においては先行研究もないスペイン、ポルトガルでの現地調査が実施できず、十分な資料収集ができておらず、文献調査にとどまっているため。
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今後の研究の推進方策 |
すべてのスポーツに関する憲法規定について、一覧表を作成するとともに、これらの諸規定、特に「スポーツ」を憲法に規定しているものを中心に、その憲法規範の目的及び内容を明らかにし、平成26年度に行った研究成果である規定の類型を下に考察を行う。 また、特に注目される憲法規定がある国(スペイン、ポルトガル、スイス、トルコ、キューバなど)については、関係する母国語の原著文献を参考文献に加えながら、各国でのスポーツをめぐる憲法規定に関する学説の展開を検討する。 これらの研究成果は、関連する学会誌(2015年の日本スポーツ法学会年報投稿論文およびInternational Journal of Sport Lawなど)に投稿し、研究成果を公表することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
日程の調整がつかなかったため、海外調査を実施することができず、予定されていた旅費に未使用額が生じた。また、学会発表に関する費用についても未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に実施できなかった海外現地調査の旅費および成果発表のために使用する予定である。
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