研究課題/領域番号 |
25350751
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
齋藤 健司 筑波大学, 体育系, 教授 (80265941)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スポーツ / 憲法 / 権利 / スペイン / スイス / 国際比較 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、スポーツに関する憲法規定について特定国に関する個別研究を行なった。 スペイン憲法では、第1編基本的権利及び義務の第3章社会政策及び経済政策の指導原理の第43条第3項前段に、公権力が健康教育、身体教育及びスポーツを奨励することが規定されている。スペイン憲法では、社会権的な性格のものとして、スポーツを国が社会的経済的に保障することが規定されており、新しい人権としてスポーツに関する権利が定められていることが明らかとなった。また、スポーツと体育を同列に保障の対象として規定していること、健康権との関係も推察されることが明らかとなった。 スイス憲法では、第3編連邦、州及び自治体第2章権限第3節教育、研究及び文化の中の第68条にスポーツを規定し、連邦はスポーツ、特にスポーツによる教育を奨励すること、連邦はスポーツの学校を運営すること、青少年によるスポーツの実践について立法を定め、学校におけるスポーツ教育の義務を宣言することを定めていることが明らかとなった。特に、スイス憲法では、第19条で初等教育を受ける権利を基本権として定めているが、学校教育における連邦の権限と責務の一つとしてスポーツ及びスポーツ教育が憲法上認められていることが明らかとなった。 ブラジル憲法では、第2編基本的権利及び義務の第1章個人及び団体の権利及び義務として、第5条第28号に、スポーツ活動も含めた集団的作業への個人の参加が保障されている。また、第3編国家組織で、連邦共和国、州及び連邦区の競合的立法権限に属する事項として第24条に教育、文化と並んでスポーツが規定されている。さらに、第8編社会秩序の第3章教育、文化及びスポーツの第217条にスポーツに関する国の義務と留保事項について規定されている。 その他の国についても、個別に憲法規定を検討を進めるとともに、全体について国際比較研究を行なう予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スペイン、ブラジル、スイスなど、各国のスポーツに関する憲法規定に関していくつかの国の新たな憲法規定の内容を明らかにすることができた。しかし、自身の入院、家族の入院、育児等が重なり、全ての国の憲法規定を分析し、それらを国際比較研究するところまでは実施することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に補助金事業の期間を延長して、これまでの研究成果をまとめ、日本スポーツ法学会などで発表する予定である。また、論文としてとりまとめて、国際誌に投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
自己の入院・加療、家族の入院・加療、育児などが重なり、当初計画していた各国のスポーツに関する憲法規定の個別研究について一部実施できず、また全体に関する国際比較研究ができず、研究成果発表のための旅費ならびに成果をまとめた論文の投稿料など支出がなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に実施できなかった研究成果発表のための旅費ならびに論文投稿料などに使用する予定である。
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