研究課題/領域番号 |
25350752
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
小林 真 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (60291853)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 視覚障害者ボウリング / 残ピン読み上げ / 画像処理 / Kinect |
研究概要 |
平成25年度は,ゲーム用デバイスとして普及しているKinectを利用して投球フォームを計測することからスタートした.視覚障害者ボウリング協会の方々にご協力頂き,隣接レーンでの計測,前方足下からの計測,後方からの計測などを実施したところ,残念ながら投球者によって計測結果が安定せず,研究前に想定していた有用な値が得られないことが明らかとなった.理由として,Kinectのソフトウェアの原理上,正面からの撮像でないと安定した検出ができないこと,視覚障害者プレーヤーの投げ方がガイドバーの影響などにより特殊なフォームになることなどが考えられた.その後,より遠くからの検出が可能なライブラリも試したが,期待される安定度は得られなかった. 一方,コーチやプレーヤーへのインタビューを通して,一投目後に残ったピン(残ピン)に関する情報やボールの軌跡に関する情報を,支援者の手を介さずにプレーヤーに渡すということが非常に重要だということが改めて示された. そこで25年度は,主に残ピン読み上げシステムの作成に注力した.まずマニュアル操作による残ピン位置読み上げシステムを簡単な画像処理プログラムを利用して作成し,5名の全盲の方に試用して頂き,コメントを得た.次に,そのフィードバックを受けて,スイープバーが降りてくるタイミングを自動で検出し,その後に残ピンをカウントして読み上げる自動読み上げシステムを作成した.同システムは,視覚障害者プレーヤーが支援者の手を借りることなく,残ピンの位置を理解して,2投目にスペアを取りに行くことが出来るものとなり,投球練習に有効であることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画であるフォーム検出については,ハードウェアの制限という理由もあって,期待される結果が得られなかった.しかし,残ピン読み上げに関するニーズを掘り起こすことができ,その解決については,試作と当事者による試用,そのフィードバックを受けての改良と改良品の評価というサイクルを経たので,一定の成果が得られたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後はフォーム検出について引き続きハードウェア・ソフトウエア両面での解決方法を検討し,並行して実現可能性の高いボール軌跡の提示に関して研究を進めて行く予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
予定していた情報収集目的の国際会議参加が実現できなかったことが大きな理由である. 26年度に海外の視覚障害者が集うイベントに参加することで,ボウリングに関する情報収集を実施する予定である.また25年度に明らかになった新たなニーズに対応するシステムを構築する予定である.次年度使用分を含む助成金は,これらに使用する予定である.
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