研究課題/領域番号 |
25350756
|
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤谷 かおる 金沢大学, 人間科学系, 教授 (60257079)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 運動会 / 学校・地域・会社 / 校種間差 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、(1)学校、地域、会社の3領域で運動会に対するネット調査のデータ整理及び(2)校種差(学校)を分析した。対象は、学校437名(小学校高学年156名、中学校125名、高校156名)、地域住民168名、会社員167名の計772名である。 (1)3領域を比較すると、①目的は、学校の「目標に向かっての団結(34.6%)」に対し、地域と会社は「人間関係への自信(地域23.8%、会社27.0%)と異なり、③プログラムの特徴は、3領域とも「有り」が2~3割で少ない結果となった(χ2値=17.5,P<0.05)。さらに、3領域で各項目との多重比較検定を行った結果、②積極性(F値=6.5)は学校が会社よりも高く、④楽しさ(F値=11.1)、⑦次年度への意欲(F値=9.5)、⑤成果【「皆との協力(F値=20.4)」「組織力の向上(F値=11.3)】等は、学校が会社より、地域が会社よりも平均値が高い結果を示した。⑥運動会の改善点(サービス評価分析)は、全体で「不審者チェック」、「意見要望の言いやすさ」が挙がり、学校で「用具の安全性」「更衣室・休憩室の確保」、地域で「駐車場の確保」、会社で「更衣室・休憩室の確保」「救急場所の周知」が挙がった。 (2)校種間差(学校)では、②小学校や中学校の積極性の平均値が高校よりも高いこと(F値=5.1)、⑤成果では「周りとの協力(F値=15.7)」で中学校や高校よりも小学校の平均値が高く、「皆との協力(F値=6.3)」「技能や体力の向上(F値=5.4)」等は高校よりも小学校の平均値が高い結果となった。⑥運動会の改善点として、全体では「記録・成績の管理」、「更衣室・休憩室の確保」が挙がり、中学校と高校で共通して「意見・要望の言いやすさやその改善」「不審者チェック」が示された。尚、高校は「毎年同じ種目」「情報発信」以外の全項目で改善点が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度は、中高校のネットリサーチを基に、「生徒が主体的に運動会に取り組んでいる事例」を抽出すること、また基本的な仕組みについて資料及び情報収集を行うこととした。学校、地域、会社の3領域による分析を再検討することによって、学校の運動会の選考観点を明確にした。そこで、本調査の「(1)学校独自種目の設定」及び「(2)サービス評価の不満足項目」の取り組み度合いを設定した。小学校では、「(1)地域の踊り」と「(2)記録・成績の管理、不審者チェック」を実施している学校、中学校及び高校では「(1)生徒提案種目やダンス」と「(2) 生徒会等で運動会に対する意見や要望を集め、その改善」に努めている学校とした。小学校は概ね進んでいるが、中学校及び高校で特徴的な学校を選定するのに時間を要している。 課題(3)では、学校生活や「ソーシャルスキル」との関連を測定するための運動会の調査票を作成し、予備調査を終える計画となっている。組織の状況を測る尺度として当初、「スクールモラール」を設定していたが、「学級」を対象とする研究が多く、学校全体を捉える新たな尺度の設定に時間が要している。児童生徒の主観的な「学校適応感」を理論的中心とした尺度が適切と判断しているが、「学校適応」関しては様々な指標が提案されている。 これからの研究に向けて、学校、地域、会社など、様々な組織に応用できる尺度の選定に時間がかかり、アンケートを再検討したことから、現在までの進歩状況がやや遅れていると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
1.平成28年度の検討課題(3):「(1)学校生活」や「(2)ソーシャルスキル」との関連を測定するための調査項目を検討する。具体的には、「メンバーシップ」「影響力」「統合と二ーズの充足」「情緒的統合の共有」から測定する。 2.「小学校」「中学校」「高校」で生徒が主体的に取り組んでいる「学校運動会」に焦点を絞り、資料収集及び情報収集を行う。その際、事例の情報収集を効率的に行うために、各地域の教育委員会に事前問い合わせを行う。 3.可能であれば小・中・高等学校への運動会調査の実施をWeb調査でできるようにHPを整える。 4.HP上で、学校・地域・会社の運動会の事例を紹介したり、実際にサービスクオリティ評価の打ち込みができるように整える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、「特徴ある種目」を行っている小学校へ運動会当日の視察を資料収集を兼ねて計画していたが、校務の関係で出張を行うことができなかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度、改めて運動会当日の視察可能な学校を選定し(旅費)、資料収集に努める。運動会は週末の土日に行う場合が多いため、資料収集には前日あるいは翌日の平日に行うことが望ましいことが本年度明らかになった。今年度分の残額を次年度に当て、効率よい視察および資料収集を行う。
|