研究実績の概要 |
人は社会の中で様々なイベント(通過儀礼、年中行事、催事)を経験し、社会性を育んでいく。学校は社会の入り口であり、運動会はイベント経験の少ない児童生徒が身近な社会的コミュニケーションを育む場として重要である。学校で育まれた力は、やがて地域や企業でのコミュニティにも波及する。本研究ではイベントの中でも運動会に着目し、「地域」や「企業」の運動会の実態と成果を明らかにした上で(研究課題1.2)、「学校」の運動会と比較しながら(研究課題3)、学校での運動会実践カリキュラムの検討(研究課題4:本年度)を行う。 調査は2017年3月に学校の児童生徒437名、地域住民168名、会社員167名の総計772名を対象に、運動会に関するアンケートを実施した。分析方法は、(1)「成果(10項目)」は1~4の得点を与え一元配置分散分析を行い、(2)サービス評価の「達成度と重要度(各30項目)」は1~5の得点を与え、検証的因子分析を行った。 分析の結果、(1)運動会の中でも「②協力意識」「④自主・積極性」の高まり、「⑤技能・体力の向上」、「⑥役割・責任感」「⑩まとまり感」の形成が学校独自の成果であった。(2)サービス評価の因子モデルは3因子(「応答性」6項目、「信頼性・スタッフ」6項目、「有形性」3項目)であり、適合度指標〔RMR=.065, GFI=.942、AGFI=.922、CFI=.942、RMSEA=.058、χ2=364.596(P=.000)、AIC=434.596〕は高く、「参加者は強制されず、意見や要望を聞き入れ、出入りチェックのある安全な運動会」を望む結果を示した。 学校の運動会は健康安全・体育的行事に位置づけられ、現行(H20年4月)の評価規準例では10時間で設定されている。学校では事後の活動として「運動会サービス評価アンケート」を全体で行い、次年度に活用することが望まれる。
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