研究課題/領域番号 |
25350757
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
奥村 基生 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (90400663)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 剣道競技 / 熟練過程 |
研究実績の概要 |
今年度の実験には大学生の剣道選手10名(中級・上級群)が参加した.課題において参加者は協力者と向かい合って構え,準備動作として右足から左足の順序で約50 cm前進した.参加者は協力者が面を打ってくると防御,協力者が面を空けると攻撃,協力者が動かなければ静止する必要があった.協力者は参加者の準備動作の①右足移動時,②左足着地時,③左足着地後の3つのタイミングで刺激を呈示した.刺激呈示タイミング②③は参加者と協力者間の距離が短くなるため防御が難しくなる.また,参加者が攻撃する試技数を多くして,攻撃の準備をする傾向になるように設定にした.参加者には可能な限り素早く正確に攻撃と防御を実行するように教示した.結果では,攻撃における群と刺激呈示タイミングの間に差異はなく,平均(標準偏差)の運動時間と成功率は中級群が335(51) msで91(5) %,上級群が338(33) msで90(9) %であり素早く高い確率で攻撃できていた.一方,防御における反応時間は,中級群がタイミング①115(15) ms,②93(19) ms,③168(56) ms,上級群が①84(20) ms,②78(24) ms,③72(36) msであり,成功率は中級群が①100(0) %,②95(10) %,③60(34) %,上級群が①85(12) %,②95(10) %,③90(12) %であった.中級群は刺激呈示タイミングが遅いと防御の反応時間が遅くなり成功率が低下していたが,上級群にはそのような傾向が見られず反応時間が短かった.つまり,上級群は準備動作中に攻撃と防御の両立が可能な状態を維持して適切な選択と反応ができる.一方,中級群はそのような準備動作ができず,防御反応の速度と正確性が低下してしまう.剣道のような高速展開スポーツでの攻撃・防御の両方の準備・動作の遂行の重要性を示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定どおり実験を実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
予定している他の実験を実施する.成果を学会などで発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
大学就任初年度で情報収集・研究成果発表のための出張回数が減少した. 実験協力者・参加者がボランティアとして実験に参加してくれたことで経費削減ができた.
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次年度使用額の使用計画 |
情報収集・研究成果発表などのために学会などに出向する. 前年度の削減分は高速度カメラを購入する予定.
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