研究実績の概要 |
Ⅰ 研究目的 運動遂行中に与えられる同時的FBと運動遂行後に与えられる最終的FBが、習得期間中及び保時テストに及ぼす影響を検討した。工藤ら(1977)は直径15㎝の円を描く実験課題を用いて,同時的FB群よりも最終的FB群の方が保持テストにおいて優れた結果を残すことを示した.しかし,この実験において用いられた課題は冗長度が低いという問題が残っている.運動学習において,課題を設定する際に重要なことは学習者にとって①新規な課題である②できない課題を期間内にできるようになる③学習プロセスが数値としてわかることである.そこで本研究では, 両手の左右運動を1/4周期ずらす課題を用いた. Ⅱ 実験方法と分析方法 1. 対象:大学生24名(男女12名ずつ). 2. 手続き:習得期間として1日の練習を15試行×3セットとし,3日間行った.1日目は練習試行の前に5試行のプレテストを行った.習得期間終了1週間後に保持テストを2試行行った.3. 分析方法:目標とする位相の角度との絶対恒常誤差と1試行中の安定性を表す標準偏差から産出される平均平方偏差を従属変数とした. 習得期については,群×練習日×セットの3要因分散分析を行い,保持テストについては群のt検定を行った. Ⅲ 結果 習得試行において,1日目においては,1セット目よりも2セット目が,また,2セット目よりも3セット目が,2日目においては,1セット目よりも2セット目が優れていた.また,1セット目は1日目よりも2日目が,また,2日目よりも3日目が,2セット目・3セット目は1日目よりも2日目と3日目が優れていた. ガイダンス仮説によると,学習者は必要以上に外在的FBを与えられるとそれに頼りすぎ,内在的FBでを用いることが少なくなるとある.したがって,最終的FB群の方が保持テストにおいて記録が向上すると思われたが、差はみられなかった.
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