両手協応動作課題におけるフィードバック提示時期の影響を検討した研究では,1/4 周期(90 度)の位相差を習得する両手協応動作において同時フィードバックと最終フィードバックの違いにより誤差の低減の程度を比較した.習得試行は3 日間で行われ,習得試行終了1 週間後に保持テストが行われた.習得試行及び保持テストの二乗平均平方根誤差(RMSE) において,同時フィードバック群と最終フィードバック群の間に有意な差はみられなかった.先行研究では既に運動プログラムを獲得しておりパラメータのみを学習する課題においては、最終フィードバックの方が有効であることを報告しているが、運動プログラムを獲得していない新奇的な課題においては,同時フィードバックと最終フィードバックの効果に差がみられなかった. 同じ両手協応動作課題における実践的な練習スケジュールの確立を目的とした研究では,プレテスト終了後にランダム練習の有効性を説明しその後対象者自らが練習スケジュールを決定した説明群については、習得試行、保持テスト共にランダム群と比べて成績を向上させることができなかった。その要因は、学習者が自分の状況に応じて練習を選択することよりも、ランダム化させることに意識が向いてしまったため、文脈干渉効果は生じたものの、自己調整の効果が大きく減少したためであると示唆された。また、1日3セット練習が行われるうちの最初の2セットをランダム群と同じスケジュールで練習し、最後の1セットは対象者自らが練習スケジュールを決定したランダム-自己調整練習条件群は、習得試行、保持テスト共にランダム群よりも優れた成績を示す傾向があった。この結果から、ランダム-自己調整練習条件群には文脈干渉効果と自己調整の効果が共に生じており、ランダム群よりも優れたパフォーマンスを示す練習スケジュールとして有効であると示唆された。
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