研究課題/領域番号 |
25350761
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
井上 洋一 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10193616)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アメリカスポーツ / 政策 / 競技力向上 |
研究概要 |
研究計画調書に記載した研究目的②-1.に該当する。アメリカ合衆国スポーツ法規と政策を「アメリカ『スポーツ政策調査研究』」(2011、文部科学省委託調査、笹川スポーツ財団)、諸外国から学ぶスポーツ基本法-日本が目指すスポーツ政策、アメリカのスポーツ政策」(2010.12.SSF)あるいはスポーツ政策調査研究(2012.3.WIPジャパン)を参考に、そして、最新の著書やそのほかの資料から検討した。まず25年度は、実施計画に記したようにアメリカ合衆国における競技力向上の政策に焦点を限定し、その現状等を明らかにすることとした。その結果、基本法規としては、連邦法規として1978年のアマチュアスポーツ法がアメリカオリンピック委員会(USOC)を統括団体として認可し、そしてその後改正された現在のオリンピック・アマチュア法( Stevense Olympic and Amateur Sports Act1998)が法的根拠となることには変わりはない。これに規定されるように、競技力向上政策の構造は我が国とは異なる完全民間委託型の政策である。したがって、アメリカ合衆国の政策は、統括団体であるアメリカオリンピック委員会(USOC)とその他の機関等の検討が重要となる。とくに、法的視点としてはアスリートの意見を反映するための競技者諮問委員会(現役競技者及びこの10年間に国際大会等で代表となったもの)や議決権において、それら競技経験者委員が少なくとも20%を超えること、キャリアサービス・教育サービスや医療的サービス等、競技者サイドに立った配慮がされている。このように競技者の地位や権利に対して高い配慮をしていることは特徴の一つである。なお、連邦法のほかUSOC定款等に各種目統括競技団体とUSOCの手続き関係が規定されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカスポーツ政策を広く検討する場合は、競技力向上政策及び生涯スポーツの政策そして健康づくり政策とを考える必要がある。研究計画に記したように、25年度は競技力向上政策部分の現状把握を手始めとした。アメリカのスポーツ法規及び組織の構造からアメリカオリンピック委員会(USOC)関連の資料は競技力向上政策についてが中心と考えられる。そのうち、研究初期段階はUSOCの資料のうちから、競技力政策とかかわって、とくに法的視点からのものを扱うこととした。
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今後の研究の推進方策 |
スポーツ政策を競技力の向上及び生涯スポーツの推進、そして健康づくり運動に分類し、とくに研究の特徴としては法的視点を中心として検討する。法規や規定等のスポーツ法関連規定を明確にし、その特徴を明らかにする。これらの政策もスポー施策や健康づくり施策ばかりではなく、その他の領域との関連政策としてとらえることもできよう。また、関連するスポーツにかかわる広範な紛争から、とくに、法的な紛争とりわけ競技者や参加者の権利にかかわる訴訟や仲裁事例を取り上げる。これらの検討は、我が国の進展しつつある法的支援制度の試みなどにおいても役立つ知見が得られると考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
スポーツ紛争関係の判例データを従来のCD-ROM等で入手するように当初計画をしていたが、現在は各情報配布先がオンライン型の年間契約制度となっている場合が多く、初年度はこれらの入手方法を検討し見合わせたためである。 上記資料入手のため方法を再検討し、経済的かつ合理的な方法で入手をすることとする。
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