研究課題/領域番号 |
25350761
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
井上 洋一 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (10193616)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | USOC / 保健福祉省 / PCFSN |
研究実績の概要 |
1998年に改正された連邦法規である「テッド・スティーブンス・オリンピック・アマチュアスポーツ法」によってスポーツ政策の中心的役割を委託されたアメリカオリンピック委員会(USOC)は、一部生涯スポーツの振興を法規上は謳っているものの、その多くは国際的な競技力向上を目指した施策を担当している。競技力向上施策は、この民間委託型がアメリカのスポーツ政策の特徴で、その財政も国からの援助はなく、2016年リオのオリンピック・パラリンピックを目前にした現在は、Road to RIOと銘打って民間ファンドを利用した財政的援助策が打ち出されている。ただし、これに加えて、連邦の行政機関として、2009年6月にオバマ大統領は、ホワイトハウスに「オリンピック、パラリンピック及び青少年スポーツ局」を設置し、USOCと協力し、スポーツの振興を図るとした新しい動きも出ている。その一環で障害者スポーツに関してパラスポーツにおけるタレント発掘事業「Gateway to Gold」などが進行している。 一方、連邦レベルの健康づくり政策は保健福祉省が主として管轄し、健康増進のための運動を推奨している。そして、2010年にはオバマ大統領によって従来の対象に栄養部門を加えた「大統領体力スポーツ栄養審議会(PCFSN)」が設置され、機能している。その目的は、国民に規則正しい体力づくりとスポーツ活動の重要性を認識させ、プログラム等を提示することにより、その実践を援助することである。この施策の中で、農務省、教育省、疾病管理予防センター、アメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine(ACSM))等と協力関係が確認できる。しかしながら、たとえば、ACSMと協力したナショナルフィジカルアクティビティプランが実施されているが、その結果は芳しくなく、普及実践の難しさを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アメリカのスポーツ政策を検討する場合、競技力向上政策及び生涯スポーツ推進政策、そして健康づくり政策等を考える必要がある。25年度は競技力向上政策を支えるアメリカオリンピック委員会(USOC)関連の資料を検討し、法規及びアメリカ的な特徴を分析することができた。26年度はその一方にある健康づくり政策の中心となる保健福祉省の施策とその中心的な行政機関となっている「大統領体力スポーツ栄養審議会(PCFSN)」の施策を検討した。さらに、27年度は保健福祉省とPCFSN及びその他の関連機関との協力関係や施策について検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
スポーツ政策面では、スポーツ振興を目的として、オバマ政権下で設置された「オリンピック、パラリンピック及び青少年スポーツ局」の活動とUSOCほかの機関との協力、保健福祉省とアメリカスポーツ医学会(American College of Sports Medicine(ACSM))が進めるナショナルフィジカルアクティビティプラン(NPAP)を検討すること。さらに、今後はもう一つの課題であるスポーツにかかわる法的紛争について、法的観点から紛争解決制度及び事例の内容を明らかにし、これらにかかわる論点の整理と選手の法的保護や行動規範、オンブズマン制度等をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費のうち消耗品等を若干倹約したため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品費のうち、資料費用及び消耗品費用として使用する。
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