研究課題/領域番号 |
25350764
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
楠戸 一彦 広島大学, 総合科学研究科, 名誉教授 (00108268)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学会発表 / 論文投稿 / 海外調査(調査) / 国際情報交換(ドイツ) / ドイツ / 中世 / 剣術 |
研究実績の概要 |
本研究は,ドイツ中世後期(14世紀から16世紀)の剣術師範たちの団体である「マルクス兄弟団」に焦点を当て,(1)この団体と剣術技法とに関する先行研究と史料の体系的な調査と収集を行い,(2)収集した先行研究と史料に基づいて,この団体の組織と活動を総合的に解明すると当時に,彼らの剣術技法を体系的に分析することによって,(3)ドイツ中世後期のスポーツ史研究に新たな知見を加える,ことを目的としている。 研究二年目の平成26年度は,(1)先行研究の収集と内容分析,(2)マルクス兄弟団に関する史料の内容分析,(3)剣術文書に関する史料収集と内容分析,が研究課題であった。先行研究と史料の収集に関しては,平成26年11月27日(木)より12月8日(月)の日程で,ドイツ連邦共和国の「ヘルツオーク・アウグスト図書館」(ヴォルフェンビュッテル),「ザクセン国立図書館-州立・大学図書館」(ドレスデン),「ベルリン州立図書館」において,マルクス兄弟団と剣術技法に関する先行研究と史料の調査を実施し,必要な文献のコピーを入手した。また,ケルンでは日本武道研究者のA.ニーハウス教授及びドイツ中世スポーツ史研究者のJ.リュール教授と,ミュンスターではスポーツ史研究者のM.クリューガー教授と,ドイツ中世スポーツ史に関する情報交換を行った。 さらに,研究初年度の平成25年度と本年度に収集した先行研究と史料の内容分析に基づいて,平成27年8月に岩手大学で開催された「日本体育学会第65回大会」において,「16世紀ドイツにおける剣士団体『羽剣士団』の成立事情―『マルクス兄弟団』と『自由剣士』の対立―」と題して,研究発表を行った。本発表の内容は,「体育史学会」の機関誌である『体育史研究』第32号に投稿した。本投稿論文は,平成27年3月に刊行された『体育研究』(第32号,41-50頁)において掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究課題は,(1)先行研究の収集と内容分析,(2)マルクス兄弟団に関する史料の内容分析,(3)剣術文書に関する史料収集と内容分析,の3点であった。 課題(1)の「先行研究の収集と内容分析」に関しては,前年度からの継続課題でもあり,前年度及び今年度に収集した先行研究の内容分析を進めた。課題(2)の「マルクス兄弟団に関する史料の内容分析」に関しては,前年度の入手したマルクス兄弟団に関する文書の内容分析を行い,特に「マルクス兄弟」と「羽剣士」との対立について史料に基づく分析を進めた。課題(3)の「剣術文書に関する史料収集と内容分析」に関しては,ドイツのヴォルフェンビュッテル・ドレスデン・ベルリンの公立図書館において,史料調査を実施し,必要な文献のコピーを入手し,内容の分析を進めている。 これら三つの研究課題の成果については,「16世紀ドイツにおける剣士団体『羽剣士団』の成立事情―『マルクス兄弟団』と『自由剣士』の対立―」と題して,日本体育学会で発表し,体育史学会の機関誌『体育史研究』に論文を投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度における研究の進捗状況を検討すると,前年度と同様に,本研究の申請時に予定していた研究計画は「おおむね順調」に推進されており,平成27年度における研究計画を変更する必要性は見いだせない。 平成27年度においては,(1)剣術文書の翻刻と内容分析,(2)研究の取り纏め,(3)学会発表を計画している。剣術文書の翻刻と内容分析に関しては,マルクス兄弟団に関する研究成果とともに「研究の取り纏め」として,冊子体の「研究報告書」を作成する予定である。また,学会発表に関しては,3年間の研究成果を平成27年10月にイタリアで開催される「第19回ヨーロッパスポーツ史学会」において発表する予定である。
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