研究課題
基盤研究(C)
【目的】本年度の研究目的は、低圧低酸素環境下における運動トレーニングの強度の違いが、メタボリックシンドロームの危険因子の経時的変化、効果の持続性に及ぼす影響について明らかにすることであった。【方法】被検者は健康な成人男性12名(27±7歳)とし、50%VO2max強度(50%群)、または60%VO2max強度(60%群)でトレーニングを行う2群に分けた。トレーニングは、海抜2000m相当の低圧環境下において1回30分、週4日の頻度で、4週間行われた。トレーニング前後に、最大酸素摂取量、同一最大下強度運動(トレーニング前の50%VO2max強度)時の循環系応答、血中脂質、耐糖能等を測定した。【結果及び考察】トレーニング後、最大酸素摂取量は60%群のみ有意に増加した(P<0.05)。また、最大下運動時の循環応答については、両群ともにトレーニング開始2週後には、1回拍出量、心拍出量の有意な増大、および最低血圧、平均血圧、総末梢抵抗(血圧/心拍出量)の有意な低下(P<0.05)が観察され、これらの変化は、トレーニング終了まで維持された。また、脱トレーニング8週後においても、トレーニング後の値は維持された。これら心血管系応答の変化は、血管内皮機能の向上に伴う末梢血管抵抗、血圧の低下が、心臓ポンプへの負担を軽減させたことに起因すると考えられる。一方、血中脂質、耐糖能に関しては、もともと標準範囲であったためか、実験期間を通じて有意な変化は認められなかった。【結論】以上の結果より、低圧低酸素環境下での運動は、短期間のうちに末梢血管抵抗、血圧の低下、それに伴う1回拍出量、心拍出量の増大といった心血管応答の変化を誘発し、その変化は脱トレーニング8週後にも維持されることが明らかとなった。また、運動強度に関しては、50%VO2maxで十分な効果が得られることも明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
25年度は低圧チャンバーの改修工事があったため、当初予定よりも実験開始が遅れたが、年度末には概ね実験を終了し、一定の成果を得ることはできた。また、26年度の計画に向けて、研究機器、被検者・検者の確保など、研究遂行上問題なく進行している。
26年度は、異なる低酸素条件下でのトレーニングを実施し、循環代謝諸指標の経時的変化、およびその後の脱トレーニングに対する効果の持続性に及ぼす影響について明らかにすることを予定している。さらに、最終年度の27年度については、25年度と26年度の結果を踏まえ、至適運動条件、至適環境下においてトレーニングを行い、短期間の効果についても検討を進める予定である。現在のところ、特に研究計画、研究課題を変更するような点はない。
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