研究課題/領域番号 |
25350767
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
荻田 太 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50224134)
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研究分担者 |
斉藤 和人 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50170494)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 低圧低酸素環境 / メタボリックシンドローム / 心血管応答 / 耐糖能 / 経時的変化 |
研究実績の概要 |
【目的】本年度の研究目的は、異なる低圧低酸素環境下での運動トレーニングが、メタボリックシンドロームの危険因子の経時的変化、効果の持続性に及ぼす影響について明らかにすることであった。 【方法】被検者は健康な成人男性24名とし、常圧環境(常圧群)、海抜2000m相当(低圧1群)、2500m相当(低圧2群)の低圧環境でトレーニングを行う3群に分けた。トレーニングは、それぞれの環境における50%VO2max相当の強度で、1回30分、週3日の頻度で、8週間行われた。トレーニング前後に、同一最大下強度運動(トレーニング前の50%VO2max強度)時の循環系応答、耐糖能等を測定した。 【結果】8週間のトレーニング後、常圧群においては何ら有意な変化は認められなかった。低圧1群においても、トレーニング開始4週後までは有意な変化は認められなかったが、8週後には最大下運動時の1回拍出量、心拍出量の有意な増大、および最低血圧、平均血圧、総末梢抵抗(血圧/心拍出量)の有意な低下(P<0.05)が観察された。しかしながら、耐糖能に関しては有意な変化は認められなかった。一方、低圧2群では、トレーニング4週間後で低圧1群と同様の循環系応答の有意な変化が認められ、さらに耐糖能についても有意な改善が認められた。また、低圧1群、2群ともに、脱トレーニング8週後においても、トレーニング後の値が維持された。 【結論】以上の結果より、低圧低酸素環境下での運動は、常圧環境下のそれより短期間のうちに末梢血管抵抗、血圧の低下、それに伴う1回拍出量、心拍出量の増大といった心血管応答の変化、および耐糖能の改善を誘発し、その変化は脱トレーニング8週後までは維持されることが示された。また、その経時的変化も低圧低酸素のレベルによって影響され、海抜2000mよりも2500m相当の環境の方がより効果的であることも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通りの結果が出なかった指標もあったが、予定していた実験は概ね完遂でき、計画通りの実験を終えることはできた。
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今後の研究の推進方策 |
27年度は、短期間のトレーニングを一定の休息期間を挟んで反復実施し、それによる各指標の経時的変化、あるいは休息期間における効果の持続性について検討する予定である。 実験条件としては、25年度、26年度の結果を踏まえ、低圧低酸素環境のレベル、短期間の日数など決める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度については、実験はほぼ計画通り進行できたが、消耗品が前年度の残品などで安価ですんだことや、謝金が予定よりも少なかったことから、残額が生じ、次年度の実験に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度の実験計画としては、より詳細な検討を進めるために、測定項目(特に血液検査)を増やすと同時に、主に消耗品の補充に当てる予定である。また、最終年度などで論文公表、学会発表をするために、それらの費用としの当てることを計画している。
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