研究課題/領域番号 |
25350769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
中島 史朗 愛知大学, 地域政策学センター, 研究員 (80625286)
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研究分担者 |
新井野 洋一 愛知大学, 地域政策学部, 教授 (00148230)
高橋 和文 金城学院大学, 人間科学部, 准教授 (10434549)
奥本 英樹 福島大学, 経済経営学類, 教授 (50277753)
仲田 好邦 名桜大学, 健康科学部, 助教 (90454355)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アダプテッド・スポーツ / 実態調査 / 心理的質問紙 |
研究概要 |
本研究では,日本における身体障害者が利用しやすいスポーツ施設のあり方について質問紙調査・聞き取り調査及び実態調査からあきらかにすることを目的としている.平成25年度は,障害者が利用するスポーツ施設の現状について,各都道府県の障害者スポーツ協会及び障害者スポーツ指導者協議会に対して郵便調査で実施した. 実態調査として,沖縄県・大阪府にある障害者スポーツ施設を訪問して,最寄りの公共交通機関からの移動及び施設内における移動・着替え・スポーツ活動における利便性等調査を行った.障害者スポーツ実践者に対して,病気から障害者となりスポーツに取り組むまでの過程について聞き取り調査を行った.身体障害者の良好なスポーツ環境確立及びスポーツ活動による心理的効果について基本的属性及び心理的質問紙を作成及び選定した.それぞれの質問紙を用いて,沖縄県の障害者スポーツ施設で活動している人々20名を対象としたプレ質問紙調査を行い信頼性と妥当性について検討した.福島県箕輪スキー場では,成人の身体障害者に対するスノーボード指導方法について実験及び検討を行った. チェアースキーを行っている身体障害者と介助者に対して,スキー場における施設環境とスポーツ活動に関する聞き取り調査を実施した.障害者スポーツアスリートへのインタビュー調査は,ロンドンパラリンピック出場選手佐藤圭太氏に対して行った.主な内容は,病気からスポーツ活動へ取り組んだ動機,選手生活・練習環境,アスリートから見た日本の障害者スポーツに対する要望等であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在障害者が専用及び優先的に利用できるスポーツ施設は全国に114ヵ所設置されている.設置者は都道府県が45ヵ所,市町村が68ヵ所(内,政令指定都市21ヵ所)であった.施設のおよそ8割は1990年までに設置されていることが郵送調査から明らかになった.その中で,沖縄県と大阪府にある障害者スポーツ施設について実態調査を行った. 研究代表者と研究分担者新井野洋一は,沖縄県における障害者スポーツに関する調査を行った.聞き取り調査では,気候が温暖で活動が行いやすい・沖縄本島北部にもこのようなスポーツ施設が欲しい等の意見があった. 研究分担者奥本英樹は,障害者を対象としたスポーツプログラム開発およびスポーツセンター運営に関して,当該活動の先進地域である大阪市における現状について聞き取り調査を行った.施設の特徴は,障害のあるなしにかかわらず全ての人に解放された完全バリアフリーの施設となっていることである.公共交通機関による場合,電車とバスの乗り継ぎが必要であるほか,自家用車であっても高速道路の利用が必要となるなど,障害者にとって決してアクセスしやすいものとはいえない. 研究代表者と分担研究者新井野洋一,研究協力者湯川治敏の3名は,福島県箕輪スキー場で身体障害者へのスノーボード実習実験及びスキー場のバリアフリーの現状について観察調査を行った.箕輪スキー場は,国内でも,障害者がスキーを行っているスキー場として知られているところであり,当日も数名のチェアースキー客がおり,2名の方とインストラクターならびに付き添いの方へのインタビューを行った. 分担研究者高橋和文は,ロンドンパラリンピック陸上競技に出場した佐藤圭太氏に対してインタビュー調査を行った.練習環境・生活環境と日本における障害者スポーツに対するとらえ方が主な内容であった.
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今後の研究の推進方策 |
障害者スポーツ施設を愛知県・沖縄県・福島県を対象として選定した.選定理由として,震災から復興へと向かっている中で,福島県の身体障害者におけるスポーツ活動が日常生活に及ぼしている影響はどのようなものがあるか.愛知県は日本3大都市圏であり,そこに住んでいる身体障害者のスポーツ活動と日常生活との関係について,沖縄県は観光立県として県外から多くの障害者スポーツアスリートが合宿地として利用している.しかしながら,利用できる施設が一つしかないという現状の中どのようにして障害者スポーツ振興に力を入れているか.また,沖縄県内在住の身体障害者とスポーツの関係について着目した. 障害者スポーツ実践者に対する調査は,差本属性質問用紙とHRQOL の評価には,MOS 36-Item Short-Form Health Survey(SF-36 )の日本語版v2 を用いる.定期的なスポーツ活動を含む身体活動は心理的に安定する効果を与えており,その他の日常生活行動にも好影響を与えていることが考えられる.つまり長い継続性のあるスポーツ活動は,HRQOLに良い影響を与えているのである.しかし,地域性の違いによるスポーツ経験とHRQOLの関係についての研究はほとんど発表されていない.そこでは,障害者スポーツセンター利用者の身体障害者を対象として,HRQOLに関する質問紙調査を行うことにした.そして,障害者スポーツセンターの地域の違いがHRQOLに及ぼす影響を検討し,さらにスポーツ活動継続年数及び頻度がHRQOLに与えている影響を明らかにする予定である. 身体障害者を対象としたスノーボードの指導方法では,スノーボードがスムーズに行うためのリフト及びゴンドラにおける介助方法及び転倒しないようにターンの指導方法についてさらに検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,基礎的な聞き取り調査及び実態調査を行った.研究代表者,研究分担者それぞれが対象とする施設の資料収集を行った.実態調査は,3ヶ所実施して概要把握を目的として実施した.使用予定額を下回った理由は,上記のように全体的な障害者スポーツ環境について,基礎的な知見取得に力点を置いた為である。 平成26年度は,学生を雇用して大がかりな調査を繰り返し行う予定である.そのため,平成25年度使用額差額を含めて調査関連費用として使用する.具体的には,調査における協力者への謝礼及び交通宿泊費等に使用する。
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