研究課題/領域番号 |
25350771
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
楠堀 誠司 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (10513856)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ショットコントロール / 身体安定性 / 体幹部 / 頭部 / 体力 / ソフトテニス |
研究実績の概要 |
本研究では,身体の安定性とショットの正確性の関係を明らかにすることを目的にしているため,打球時の身体,特に上半身や頭部の安定性を定量化する必要がある.打球時の身体の安定性については,周期的な運動として扱うのではなく,フォワードスウィング開始からインパクまでの短時間での身体安定性を定量化する必要がある(Rodrigues et al., 2002). DLT法により頭部,上半身,および,ボールの3次元座標データを得た後,身体の「揺れ具合」を周波数領域に変換して知ることが有益であると判断された.飛来するボールに対してラケットとボールのコンタクトを精度良く実現しなければショットコントロールは低下する.身体外部のボールに対するコンタクト実現のためには,フォワードスウィング動作の周期性を仮定するよりも,周期性がないという前提で分析・定量化を行う必要がある.また,インパクトまでの身体の揺れ具合を知るためには,時間情報との関連で定量化する必要がある.したがって,データの周期性を前提としたフーリエ変換よりも,時間分解能等の制約を受けないウェーブレット変換による分析が有効であった.ウェーブレット変換では,時間情報,すなわち,位置情報との関連で分析が可能である.飛来するボールとラケットの位置関係を把握しながら,身体の揺れ具合を知ることが可能になる.フォワードスウィング開始後の身体の揺れ具合と打球コントロールとの関係を知ることにつながる. 現在は,分析に適したウェーブレット変換の種類を特定することを行っている.また,キネマティクス的分析はボールの位置関係と動作の開始時間との関連を明らかにできることから,キネマティクス的分析についても検討している.3月7,8日に開催された日本コーチング学会第26回大会(於 大阪体育大学)に参加し,ラケットスポーツ研究者やコーチと意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目的として,体力とショットコントロールの関係を明らかにすることがある.つまり,体幹部の安定性をもたらすと考えられる筋力とショットコントロールの関係を明らかにすることであるが,これまで行ってきた検討結果では,その関係が直接的には明らかにできていない. これを踏まえて,身体の安定性,逆説的には身体の揺れ具合をどのように定量化すべきか検討する中で,いくつかの方法を試行的に行ってみたが研究本来の目的に合っていないように思われ,現在のウェーブレット変換を使った分析方法にたどり着くまでに時間を要してしまった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,デジタイズ作業を進め,分析対象試行数を増やし,統計的検定処理を行えるレベルまで進める.最終的な分析項目を絞り,分析を加速させる. また,体力,身体安定性(揺れ具合),ショットコントロールの3因子を盛り込んだ分析モデルについても検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
分析用PCのOSサポート終了を予期して,当初はPCの機種変更などを計画していた.それに伴ってデータ保存用の備品(PC周辺器機)を購入する予定で,物品費として79,610円を計上していたが,分析用PCの機種変更などの手続きを行えなかったため,物品費を使用することがなかった.
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次年度使用額の使用計画 |
分析を進めながら,PC周辺器を購入する予定である.
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