研究課題/領域番号 |
25350773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 仙台大学 |
研究代表者 |
宮西 智久 仙台大学, 体育学部, 教授 (20285646)
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研究分担者 |
柴山 一仁 仙台大学, 体育学部, 助教 (50634060)
門野 洋介 仙台大学, 体育学部, 助教 (20601016)
図子 浩二 筑波大学, 体育系, 教授 (70284924)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 野球 / 投打実験 / 実戦形式 / タイミング / 成功・失敗試技 / 3次元動作分析 / スポーツバイオメカニクス |
研究概要 |
これまで野球の投・打動作に関するバイオメカニクス研究は投球のみ,ないしは打撃のみの動作を単独で扱った極めて実験室的な状況から実施されたものであり、両動作を実戦形式で同時計測し分析されたのではなかった.実戦においては投手と打者の”駆け引き”が重要であり,こうした状況を考慮し投手と打者の成功・失敗試技をその動作に遡及して調査分析した研究は皆無に等しい.今回の研究では、タイミングの観点から種々な球種を投げる投手に対して打者がどう対応し打撃を行うのかを光学式自動三次元解析装置ならびに高速度カメラシステムを併用して同時解析し比較・検討することを目的とした.①被験者は実験参加への同意を得た硬式野球部の投手と打者数名を用いた.実験に先立ち,打者には身体各部位数カ所に反射マーカを取り付けた.投手には身体各部位に計測用テープと投球腕手及び肘関節に小ポールを取り付けた.②実験試技として練習形式と試合形式を行わせた.練習形式は予め投手が投げる球種を告知させた状況で打撃を行う形式であり,試合形式は球種を告知させない状況で打撃を行う形式である.③各投手と打者の動作をVICONと高速度カメラへを併用して同期計測するとともに,投手と打者の両足に作用する地面反力データをA/D変換しパソコンに取り込んだ.④タイミング分析はLED信号を基準に投手のビデオ画像ならびに投手・打者の地面反力データから主要時点を求め,各局面時間を算出した.成功試技と失敗試技を分析した結果,2名の打者の失敗試技は始動のタイミングが遅れ,残りの1名の打者のそれは始動のタイミングが早かった.各選手それぞれに独自のストラテジーがあり,始動を誤ると失敗の確率が高まることがわかった.今後より多くの事例を加え検討する必要があるが,いずれにしても投手に合わせて打者が打撃を始動するタイミングが重要であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施初年度において,複数の投手と打者を対象に自動三次元解析装置ならびに高速度カメラシステムを併用して投・打実験を実施した.本年度においては,これらの実験から得られたデータの解析作業を進め,実戦的観点から多角的に野球の投打動作の解明を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
これまで実施した実験系はいずれも異機種システムを用いた投・打実験計測であるため,データの収集・解析作業が非効率であることが大きな課題となっている.今後,同機種システムの構築・導入を計画し.データの収集・解析作業をより効果的・効率的に推進させる予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
データ解析装置としてパソコンと解析ソフトを購入予定であったが,初年度で実験が主たる研究遂行作業となったため,それらの機器やソフトの購入を見送ったためである. 今年度予算(次年度繰越金含む)の使用計画は,データ解析が主な研究作業となるため,データ解析装置およびソフトを購入予定である.また,追加実験に備えて,VICONカメラ関係の物品(遮光フィルター),消耗品他を購入予定である.
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