研究課題/領域番号 |
25350774
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
依田 珠江 獨協大学, 国際教養学部, 准教授 (40348818)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 健常者 / 暑熱負荷 / 寒冷負荷 / 自律性体温調節 / 行動性体温調節 / 温熱的感覚 / 脊髄損傷者 |
研究概要 |
脊髄損傷者は障害部位以下の血管運動および発汗機能障害といった自律性体温調節反応が減弱しているため、深部体温が変動しやすく、スポーツなどの身体活動中は注意が必要である。したがって脊髄損傷者は行動性体温調節を積極的に行う必要がある。そこで脊髄損傷者の体温調節反応、特に温熱的快・不快感を明らかにすることを目指し、2013年度は健常者(男性7名)を対象として実験を行った。実験は環境温29℃の温熱的中性域でベースラインのデータを30分間測定し、その後40分間で①暑熱負荷実験では漸増的に29℃から35℃に上昇させ、②寒冷負荷実験では漸減的に29℃から23℃に低下させ、その後それぞれ20分間その温度を保つ。③コントロール実験は①②の実験の対照実験として環境温を29℃で計90分間一定に保つ。以上の3条件で、温度負荷の強さ(危険度)と自律性体温調節反応(鼓膜温、皮膚温(8カ所)、皮膚血流量(前額・胸部)、発汗量(前額・胸部)、血圧、心拍)、温熱的快適感を調べた。3条件の実験の順番は被験者毎ランダムに実施した。3回の実験は少なくとも1週間の間隔をあけて行った。鼓膜温は暑熱、寒冷負荷実験とも大きな変化はなく、皮膚温は環境温が上がると上昇し、環境温が下がると低下した。発汗量には大きな変化は見られなかった。また温熱的感覚は環境温度変化とともに生じた。この温度変化範囲では健常者の場合、血管の収縮・拡張による自律性調節によって、深部体温は維持することが可能なことが示された。よって本実験条件は負荷としては過度のものではなく、その上で、環境温変化を感知することのできる温度設定であることがわかり、脊髄損傷者に対しても実施することができると推察された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は健常者のみを対象とした実験を行い、分析するにとどまっている。実験プロトコールおよび測定項目についてはまず健常者に実施して、脊髄損傷者に行っても安全上問題がないかどうか、つまり実験負荷が適切であるかどうかを確認することを第一としたことが理由として挙げられる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は平成25年度に実施した実験条件を脊髄損傷者を対象として実施し、自律性体温調節反応と温熱的感覚の関係について明らかにする。また自律性および行動性体温調節に対する運動鍛錬の有無、あるいは運動の種類(脊髄損傷者が行うことの出来る上肢の運動)の影響について検討する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究実施が当初の予定より進まず、被験者として健常者7名のみの実験実施となったため、被験者謝金が大幅に減ってしまった。 被験者謝金としての使用とヨーロッパスポーツ科学会議(ECSS)への出張へ支出する予定である。またWindows XP機器に代わるデータ収集および分析用のパーソナルコンピュータの購入を計画している。
|