研究実績の概要 |
反復投球後の肩甲骨位置は、上方回旋位、内旋位、内転位となることから、この変化は投球後の筋疲労が肩関節周囲に残存している症状であると推測できるが、皮下を移動する肩甲骨の場合、これまでの位置測定方法は誤差が大きいと指摘されている。本研究では接触型3次元形状測定装置により反復投球前後の肩甲上腕リズムを測定し、その変化を比較、検証した。接触型3次元形状測定装置を使用するため、まずこの測定信頼性について検証した。肩甲骨の前後傾、上方下方回旋、内外旋のICC(1,2)、ICC(2,1)、95%CI、SEM[°]を算出した結果、ICC(1,2)は0.89~0.71、ICC(2,1)は0.89~0.74、95%CIは0.96 ~ 0.51、SEMは0.47~0.13であった。SEMは小さかったものの、骨指標の規定をさらに厳密化してICCを改善する必要性が示された。以上の研究は平成26年4月に開催された第69回理学療法科学学会にて口述発表を行い、「3Dデジタイザーによる骨模型の肩甲骨角度の測定信頼性」と題して国内雑誌の理学療法科学29(6),905-909に掲載された。次に、野球経験者を対象とした投球課題前後の肩甲上腕リズムの経時変化を測定した結果、投球課題後1日目のみ肩甲骨位置は有意に下方回旋(肩関節120°時)、かつ伸展(肩関節60°時)していた。この結果は新しい知見であり、肩関節90~120°位での肩甲上腕リズムをチェックすることが疲労の影響を確認する上で重要であると考えた。この結果は、平成27年6月に予定されている欧州学会のEuropian College of Sport Scienceにて「THE ANALYSIS OF GLENO-HUMERAL RHYTHM AFTER REPETITIVE THROWING BY 3D DIGITIZER 」と題して発表予定である。
|