研究課題/領域番号 |
25350782
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
山口 順子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (70055325)
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研究分担者 |
荒井 啓子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (50082938)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 身体技法 / アート力 / 間身体性 / 文化変容 / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究は、二つの伝統的文化圏に特徴的な身体技法をとりあげ、グローバル化の進む現代社会において変容する多様な身体・スポーツ文化の表象特性を探ることである。 研究代表者は、文化の基層が現代に生きる、北米太平洋岸地区(ワシントン州キトサップ郡)の先住民(セイリッシュ語族)の「伝統を創るイベント、カヌー・ジァーニ」に注目し、共同体の人材育成、薬物依存からの撤退、アイデンティティ意識の高まりと競技会で使われるインディアン・マスコット撤廃運動の推進など、伝統文化のリニューアル化の表象性について検討した。 また本年度は、「伝統を創る」取組みと集団的身体の相互依存(間身体性)の働きに注目し、国際スポーツ哲学会(2014年、ブラジル)において研究発表を実施した。国内においては、北米先住民の表現文化について、大学主催の公開講座にて講演し、スライド・配布物の作成とともに成果の一端を社会に公開した。 研究分担者は、イラン・イスラム共和国の伝統的な身体技法(ズールハーネ)の継続研究を首都・テヘランにおいて実施し、国立ズールハーネセンターの施設及びナショナルチームの練習を視察し、資料収集とともにセンター長との面談を行った。そこから、これまで調査したイラン各地の「伝統的な生活文化としてのズールハーネ」とは異なる「国際スポーツとしてのズールハーネ」の諸相を考察した。また、イラン・オリンピック委員会を訪問し、女性アスリートに関する資料収集や面談を通して、イランにおける現代の伝統スポーツと独自の近代スポーツそれぞれの文化表象力の特性を考察した。さらに、「多様な身体」の実際を検討するため、国際大会の事例として、韓国の仁川(インチョン)で開催された第17回アジア競技大会(2014)を視察し、そこで掲げられたスローガン「多様性がここで輝く(Diversity Shines Here)」に関する大会意図を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的に従い、現地調査が実行できていること、また、国内外での学会発表を実施し、スライド・配布資料なども出来上がっていることから、今後のまとめに向える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の作業では、研究代表者と分担者の調査結果を検討し、個人/集団、日常/非日常、通時/共時的視点など、相互依存の場である身体・スポーツ文化の表象力についてのまとめの作業を行いつつ、本プロジェクトの理論的枠組みの確認、資料の読み解き、研究成果の公開に向けて緻密な分析作業を実施して行くことを考えている。また、成果の報告として、国内外での学会発表、シンポジウムなども計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
その他の支出がなかったため、46450円、翌年に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
毎年、海外での学会参加、ならびに調査滞在中の出張旅費が不足している為、宿泊費の補助として使用する予定である。
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