研究課題/領域番号 |
25350783
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
上水 研一朗 東海大学, 体育学部, 准教授 (40439659)
|
研究分担者 |
町田 修一 順天堂大学, スポーツ健康科学研究科, 准教授 (40421226)
有賀 誠司 東海大学, スポーツ医科学研究所, 教授 (90287037)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | トレーニング科学 / 武道 / 柔道 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
近年、ヒトのスポーツパフォーマンスを規定する遺伝子が多数報告され、競技能力や運動トレーニングの効果に見られる個人差を説明する要因の一つとして遺伝子多型が注目されている。しかし、柔道をはじめとする武道系の競技パフォーマンスと遺伝子多型についての関連性を検討した報告は少ない。そこで本研究では、男子柔道選手を対象に、筋肉量および瞬発系・パワー系運動能力に関与する遺伝子多型と競技能力および階級制の関連性を明らかにすることを目的とした。対象者は全日本学生柔道優勝大会で最多の優勝回数を誇るT大学男子柔道部の現役およびOBの部員156名とし、大学入学後の最高競技成績に基づいて、競技能力を5つのランクに分類した。また、各選手が最も多く試合に出場した階級を用いて、軽量級(60kg・66kg)、中量級(73kg・81kg・90kg)、重量級(100kg・100kg超)の3つに分類した。遺伝子多型解析は唾液からDNAを抽出し、PCR法、PCR-RFLP法、TaqMan Genotyping Assay法のいずれかによってαアクチニン3(ACTN3)やアンジオテンシン変換酵素(ACE)遺伝子等、筋肉量および瞬発系・パワー系運動能力に関与する8種類の遺伝子多型を分析した。今回検討した8種類の遺伝子多型の頻度を先行研究で報告されている一般人の頻度と比較した結果、一部の競技能力や階級の柔道選手に有意な差が認められた。また、2つの遺伝子多型の組み合わせ頻度をランク別で比較した結果、頻度に大きな差がつく組み合わせが複数認められた。以上から競技能力や階級の違いが遺伝子多型と関連している可能性が示唆された。また2種類の遺伝子多型を組み合わせることによって、柔道の競技能力を単一の遺伝子多型で検討するより規定できる可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた8種類の遺伝子多型について150名以上の被験者で検討できている。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の実験計画通りに、1年目で検討した8種類の遺伝子多型について、柔道競技能力を評価するパフォーマンステストの成績と形態(体脂肪率、除脂肪体重、胸囲、大腿囲等)の関連について検討する予定である。パフォーマンステストの項目としては、ベンチプレスの最大挙上重量(1RM)、スクワット1RM、ダンベルスナッチ1RM、最大無酸素パワー、垂直跳び、パワークリーン、背筋力、握力である。形態計測としては、生体インピーダンス法による体脂肪率や除脂肪体重、9カ所の周囲径(頚囲、胸囲、腹囲、臀囲、大腿囲、下腿囲、上腕伸展囲、上腕屈曲囲、前腕囲)について検討する予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度の後半から、156名の対象者の8種類の遺伝子多型を検討する過程で、効率的に遺伝子多型を同定することに成功したため、当初予定していた実験回数を実施する必要がなくなった。そのため、PCR関連の試薬を節約することができ、物品費に計上していた予算が残った。 2年目は、柔道競技能力を評価するパフォーマンステストの成績と形態(体脂肪率、除脂肪体重、胸囲、大腿囲等)の関連について検討する予定であり、得られるデータ数が莫大になる。そのため、形態・体力測定等のデータを正確に取るために当初の予定よりも験者の人数を増やす予定であり、今回の余剰予算を有効に活用する。
|