研究計画の最終年度は,これまでの研究活動の成果として学術雑誌への論文投稿が主たる研究活動であり,2017(平成19)12月に公益財団法人日本体育協会と情報ネットワーク支援NPOの相補的関係性:「動員」と「象徴的運動」から創出される公共圏をめぐって」(体育学研究,62:491-510)として研究成果を公表することができた. 地方行政が各種の行政施策を展開する際の主軸として位置付ける施策の推進計画は,広く自治体住民のボトムアップ式の意見を吸い上げて計画策定されることが望ましい.しかし,旧来型の行政機構が有する計画策定プロセスは,形がい化している批判もあり,官僚制体制の限界が各方面から指摘されるようにもなっていた. 本研究は,そうした限界性を打破するためにNPO型民間スポーツ組織が,いかなるプロセスを経てスポーツ推進計画の立案プロセスに参画していくのかを検討したものであるといえる.とりわけ,国内の民間スポーツ統括組織である公益財団法人日本体育協会は,地方加盟組織や各競技団体を加盟される統括性を有しており,さまざまなスポーツ施策の立案において重要な役割を果たしてきた.ところが,肥大化した統治機構となっているがゆえに施策展開の柔軟性を発揮することがなかなかできなかったのも事実である. その意味では,本研究は,NPO型民間スポーツ組織が公益財団法人日本体育協会との間で相補性を確保し,協働的な組織体制を構築することでそれぞれの組織がもつ強くを発揮するとともに,地方行政のスポーツ推進計画の立案プロセスにおける「市民主体」のボトムアップ型を実現できるものであると考えている.
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