運動における日本人特有の感情不安と遺伝子多型との関連性

2015 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 25350789
• 研究機関: 聖マリアンナ医科大学
• 研究代表者: 谷田部 かなか 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (00387028)
• 研究分担者: 熊井 俊夫 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40139671) ; 藤谷 博人 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (50278008)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 感情不安 / ストレス / スポーツ心理 / 気分評価 / 遺伝子多型

研究実績の概要

平成27年度は、まず一昨年までの総合的データ解析・評価を行った。特性・状態不安高中低群での質的評価ではなく、精神系ゲノム多型(5-HTTLPR)に基づく量的解析による関係性を検討した。今回、簡便に事前質問紙チェックを行う方法により、日々の気分評価をして個々の情緒不安やストレスについて評価が出来るか試みたが、評価が可能であったのは、プロを目指しているエリートレベルの学生ダンサーのみであった。結果としては、感情表出・制御の個人差は環境・心理的要因を左右しやすく、遺伝子要因である5-HTTLPR多型による分類性の可能性は考えられた。しかしながら、日々の練習、経験を重ねることによる学習効果、年齢を追ってプロになるという段階を長期的に経験する間に、その遺伝子要因による個人差の隔たりはなくなり、様々な物事に対してポジティブに考えられる、いわゆる楽観的な性格特性へと傾向していくことが可能である、と示唆された。現在は、バレエにおける5-HTTLPR多型とストレス条件による感情表出との関連性について論文投稿中であり、次夏には国際学会にて発表予定である。
平成27年1月～4月末までは、プロバレエダンサーの観察研究を実施した。各ストレス条件測定日の前後に質問紙調査とゲノム多型(5-HTTLPR)調査を行い、時系列の心身状態と計測項目の関連性について調査した。副次的には練習日のストレッチ前後の4試技(左右別)の足底分布圧・重心動揺計測等を行い、動作と気分の関係性、およびストレッチ効果の観察を行った。また夏期においては、登山前後において質問紙調査とゲノム多型(5-HTTLPR)調査を行った。副次項目としては心拍、RPE、血圧、筋力、体重測定等であった。研究期間の延長によりこれらの解析・評価を引き続き行う。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

国際的社会情勢が不安定だったため、2月の国際学会参加を見送った。これまでの研究成果発表が次夏の国際学会(ICP2016)で受理され発表予定であり、論文投稿および引き続き解析・評価に時間を要することから、少々遅れていると評価した。

今後の研究の推進方策

研究期間中に調査した内容について、引き続き解析・評価を行い、最終フィードバックも行う。

次年度使用額が生じた理由

成果発表について次年度開催の国際学会に変更したため。また、論文投稿が次年度になってしまったため。

次年度使用額の使用計画

平成27年度までに行った調査に伴い、引き続き必要な物品を優先して購入する。また、成果報告のための学会参加、論文掲載費を優先して使用する。

研究成果

• [雑誌論文] Effects of Neuroticism on Partial and Whole Body Reactions under Stress. (2015)
  • 著者名/発表者名: Kanaka Yatabe, Hiroto Fujiya, Naoko Yui, Keisuke Tateishi, Yuka Murofushi, Fumiko Terawaki, Atsuhiro Yoshida, Hirotaka Yoshioka, Koh Terauchi, Hajime Kobayashi, Takaaki Kudo, Mahiro Ohno, Aya Uchino, Hisao Miyano, Tadasu Oyama, Haruki Musha.
  • 雑誌名: Journal of Sports Science 巻: 3(4) ページ: 155-164
  • DOI: 10.17265/2332-7839/2015.04.001
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [備考] 谷田部かなか（ヤタベカナカ）-聖マリアンナ医科大学 研究者情報
  • URL: http://gyoseki.marianna-u.ac.jp/smuhp/KgApp?kyoinId=ymdogbgkggy