本年度は障害のある選手のスポーツへの社会化の状況及び、人々の障害者や障害者スポーツに対する意識について研究を行った。 障害のある選手のスポーツへの社会化については以下のことが明らかになった。精神障害者はスポーツを行うことによって精神的、身体効果、社会的効果を得ている。特に対人コミュニケーション能力の向上や対人協調能力の向上は特徴的である。しかし、認知度の低さやチーム数の少なさがスポーツを実施していくうえで困難となっていた。身体障害者で野球を行っている人の社会化に関しては、主に同じ競技選手による働きかけによるものが多かった。また、野球系競技経験のある人が多いことから、経験がある人は競技開始を促進されるが、経験無の人は抑制されるということが明らかになった。脳性まひのある身体障害者のスポーツへの社会化では障害の受容ができていない場合、スポーツへの社会化が抑制されることがある。自力での移動やプレーが困難なことが多いため家族やヘルパーの支援がない場合スポーツへの社会化が抑制されることが明らかになった。また、現在プレーしている場合でも高齢化や諸条件の変化により介助者が確保できない場合プレ―継続が難しくなることがあり、生活条件がプレー継続に大きく影響していることが明らかになった。 人々の障害者や障害者スポーツに対する意識に関する研究では、障害者スポーツをメディアを通してみたことがある人や、体育館等で直接見たことがある人、また、体験したことのある人のほうが障害者や障害者スポーツに対してより肯定的の意識を持っていることが明らかになった。ただし、これらの意識は2年前の同様の調査と比較して大差はなく、リオパラリンピックの影響はそれほど見られないことが明らかになった。
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