研究課題/領域番号 |
25350794
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐久間 春夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (10128572)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | サビタイジング / 状況判断能力 / バイオフィードバック / 脳波 / 瞬間情報処理 / 注意 / セルフトーク |
研究実績の概要 |
優れた競技パフォーマンスを達成するためには、高次の状況判断能力や瞬時の合目的的な情報処理能力が不可欠であり、この能力の優劣が勝敗に大きく影響する。 本研究では、視覚情報処理能力としてサビタイジングsubitizingに焦点をあて、眼球運動と脳波の解析を主に、定位反応や意識下での注意能力との関連性を明らかにすることにより、サビタイジングの機能局在の同定と競技能力との関連性について瞬間情報処理についての方略を明らかにすると共に、情報抽出のための覚醒水準をセルフ・コントロールするためのメンタルトレーニング技法の実証科学的基礎となる根拠をさぐるとともに、情報処理様式の特性からADHD等の処方など他分野への応用可能性についても検討する。 前年度の結果に基づき、①スポーツの実際場面(バレーボール)をシュミレートした刺激条件を設定し、特に競争場面における情報処理に影響を及ぼす自律神経機能(ECG)と実行機能との関連性を見た結果、特性不安の高さが瞬時情報処理に影響を与えることを明らかにした。②同様に競争事態における情報抽出に及ぼす主観的な要因(競争心の高低)の違いとパフォーマンスと関連についてEEGの成分特徴から明らかにした(バイオフィードバック研究,42巻)。③2ヶ月にわたるメンタルトレーニングへの応用としてポジティブ・セルフトークの効果についてEEGの特徴から明らかにした(SEME,2014)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多様な競技場面にできるだけ近づけた実験として、提示刺激の作成とそれらの刺激提示時をトリガーとしたEEGの解析に時間を要しており、特に多様な解析法の習熟が、得られたデータの処理を今後促進できるものと思われる。サビタイジングに影響を及ぼす要因の分析が必要とされる。
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今後の研究の推進方策 |
サビタイジングに影響を及ぼす主体側の要因として、対象へのモチベーションや自我関与をコントロールすることにより、応用的側面(バイオフィードバック、メンタルトレーニング)への展開を図る。これらの成果をPerceptual and Motor Skills に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
大きくは2つあげられる。①実験室状況から出て、多様な競技場面に発生する心理的要因に可能な限り近づけた実験を試みており、限られた少数の被験者であったこと。②EEGの多様な解析法の習熟に時間を要した。
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次年度使用額の使用計画 |
スポーツにおける多様な競技場面にできるだけ近づけた実験として、作成した提示刺激並びに、これまでの解析法の習熟により、多くの被験者を用い、より実験を推進する。また、今年度はサビタイジングに影響を及ぼす要因の分析結果をまとめる(報告書冊子の作成)のに使用したい。
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