研究課題/領域番号 |
25350805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
山辺 芳 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ科学研究部, 研究員 (00346470)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | スキージャンプ / 風洞実験 / 流体力学 / シミュレーション / 動作分析 |
研究概要 |
風洞実験施設を用いた空気力の計測のため,風速25m/sおよび28m/sの気流条件で踏み切り動作をスキージャンプ選手に実施させ,風洞内に設置された床面式6分力天秤によって空気力(揚力,抗力)を測定した。また,選手の右側面に設置したビデオカメラによって映像を撮影し,2次元画像解析を行い,股関節角度,膝関節角度,上肢回転角度および重心高を算出した。6分力計で計測された計測値には,空気力以外の成分(選手が発揮した床反力)が含まれるため。2次元画像解析から算出された合成重心の加速度成分を6分力計によって測定されたデータから差し引くことで正味の空気力を推定した。 国際スキー連盟主催のジャンプ大会(FIS Summer Jump Grand Prix:長野県白馬村(2大会),およびFIS World Cup:北海道札幌市(4大会);山形県蔵王(2大会))において,一流スキージャンプ選手の踏切動作映像を収集し,画像分析を行った。本研究の分析結果から,女子選手は男子選手に比べて踏切動作の速度が小さく,下肢の前傾量が少ないことが明らかとなった。また,男子選手においては下肢の前傾角度と股関節角度および体幹前傾角度との間に負の相関関係が見られた。これらの結果は,優れたジャンプ選手のみを対象とした場合でも,選手間に動作様式の多様性が認められることを示すとともに,股関節の伸展量が,下肢の前傾量との決まった比率で制御されていることを示唆するものである。 今後のシミュレーション実施の際に,実際の選手が示した動作様式を入力変数とすることで,これらの多様性を空気力学的に理解する事ができるものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スキージャンプ選手を対象とした風洞実験によるデータ収集を順調に進めることができた。また,国際大会における有力選手の踏切動作映像の収集および分析を行い,踏切動作における動作様式の特定を進めることができた。動作分析の結果から,男女における踏切動作様式の違いも新たな知見として得ることができた。 海外学会において成果報告を予定していたが,風洞実験のスケジュールの都合で実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
実際のジャンプ動作映像の分析結果から得られた姿勢変化を用いて,風洞実験をさらに進める。新たに得られた踏切動作様式の男女差の知見も空気力学的に検討できるよう,男女それぞれの代表的な人形模型を用いて風洞実験を行い,その技術的背景を空気力学的背景から理解できるようにすることも課題として研究を進める方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
以下の2点の理由により旅費の支出がなかったため。 1)実験日程と重なったため海外学会への参加を取りやめた。 2)職務先の業務としてジャンプ大会における映像撮影を行ったため旅費(長野および北海道)が不要となった。 平成26年度の計画に国内学会への参加および実地調査研究の旅費として次年度使用額を充てる。
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