新規遺伝子のタンパク質は骨格筋に高発現しており、マウスの遅筋と速筋においてタンパク質の発現量が異なることを見出している。遅筋においてタンパク質発現量が速筋に比べ顕著に多いことから、この新規遺伝子は持久的な運動において機能しているのではないかとの仮説を考えて実験を行った。そこで、走行実験を実施した。マウスの走行実験において老齢マウスは予備走行を経た本走行ではすべてのマウスが全く走行しなかったという結果を得た。さらにこのマウスに病理的に相違所見がみられていることも明らかにした。新規遺伝子の筋線維の縦方向での分布は縞模様を示し、I帯に局在していることも見出した。Tgマウスではドット状に分布していることを明らかにした。新規遺伝子の筋線維内部での局在を解析するため、遅筋および速筋の横断面を免疫組織染色法により解析した。筋線維ごとに線維内部で全体的にドット状に分布しており、遅筋では筋全体が染色されていた。一方、速筋では一部の筋線維が染色されていた。この染色像の結果は、これまでウェスタンブロット法にて見出した結果と同様で、遅筋での発現量が多いことと一致した。さらに、運動刺激が新規遺伝子の発現に影響を及ぼすかどうかを解析した。2週間30分間走を行ったのち、遅筋および速筋についてウェスタンブロット法および免疫組織染色法にて解析を行った。新規遺伝子は遅筋では顕著に発現の増加が見られた。また運動によりミトコンドリアの増加とともに局在も新規遺伝子と類似したものとなった。この結果は、新規遺伝子は運動刺激により発現量が変化することを示唆する。さらに筋肉内で新規遺伝子の発現により筋線維の分布に影響を及ぼすかを解析した。ATPase染色法による筋線維タイプ別解析で、野生マウスとノックアウトマウスではI型の分布は同程度であった。新規遺伝子は筋線維タイプの変化について影響を及ぼさない可能性を示唆する。
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