研究課題/領域番号 |
25350814
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
酒井 良忠 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90397802)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 筋損傷 / 炭酸ガス / ミトコンドリア |
研究概要 |
本研究の目的は、我々が現在まで科学的検討を行っているハイドロゲルを用いた炭酸ガス経皮吸収が、筋損傷の治癒を促進するかについて検討を行うものである。 今回われわれは、従来から多く行われているモデルである筋損傷モデル(ラットの右下脚に0.5%塩酸ビプバカインを注射)を用いた。設定群としては、0.5%塩酸ビプバカインを注射後、炭酸ガスを経皮膚吸収させる群と0.5%塩酸ビプバカイン/カルジオトキシンを両下腿へ注射後、処置を行わない群の2群で行うこととした。 炭酸ガスの投与方法は、週2日下腿全体へ20分間経皮吸収によって投与を行った。各ラットは、2週、4週、6週、8週、10週、12週に安楽死させ、前脛骨筋を採取し、筋湿重量を測定した。その後、それぞれの筋は従来通り、凍結保存した。現在、採取した筋の組織学的評価、分子生物学的評価(遺伝子レベル、タンパク質レベル)を行っている。 H&E染色およびマッソントリクローム染色にて筋損傷の治癒時期の確認と、炭酸ガスを経皮吸収させた際の治癒時期の確認した結果、炭酸ガス経皮吸収が筋損傷の治癒促進に有効で、一定期間の早期回復が確認できている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. 筋損傷の動物モデルの確立 ラットの筋損傷のモデルとして、0.5%塩酸ビプバカインを前脛骨筋へ刺入後、2週、4週、6週、8週、10週、12週と検証した結果、筋損傷が完全に回復するには、10週が必要であることが組織学的に示された。当初、もう少し早期の治癒を想定していたが、研究を進める中で、本筋損傷モデルの回復には、10週程度の治癒期間が必要であることがわかった。 2. 炭酸ガス経皮吸収の効果 筋損傷後の無処置の筋組織サンプル、炭酸ガス経皮吸収(2回/週)を行った筋組織サンプルは、すでに目標のサンプル数の採取が終了しているが、今後も必要に応じて、サンプルの追加を行う予定である。さらにそれら筋サンプルをH&E染色およびマッソントリクローム染色にて筋損傷の治癒時期の確認と、炭酸ガスを経皮吸収させた際の治癒時期の確認した結果、炭酸ガス経皮吸収が筋損傷の治癒促進に有効で、一定期間の早期回復が確認できている。しかし、今後詳細な組織学的のため、ATPase染色、免疫染色等を今後追加で行っていく必要がある。また分子生物学的解析については、今後の検証が必要である
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今後の研究の推進方策 |
昨年度からの実験に関しては、現状の計画通りに進めれば問題ないと考えている。これまでに採取したサンプルを一斉に組織学的、分子生物学的に評価を行い、データを集約する予定である。 当初より本年度の計画として位置付けていた、筋損傷ラットモデルによる実験では、モデルの確立、サンプルの採取はすでに終了しており、引き続き蛍光免疫染色、ATPase染色等でそれらの組織学的検討を行っていく予定である。さらに筋損傷の修復のメカニズムに対して、炭酸ガス経皮吸収がどういった機序で関与しているかについて、筋合成関連の遺伝子の変化を検討し、明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
適切な筋損傷動物モデルの確立が若干遅れたため、その後の種々の実験について、若干の遅れが生じており、その結果としてラットの購入費や試薬の購入を遅らせたためである。 次年度も引き続き組織学的検討や、分子生物学的検証を行っていくため、Real-time PCR関連試薬、各免疫染色試薬、その他実験に関する消耗品の購入のための研究費を必要とする。また、追加の動物実験も行う可能性があり、さらにラットの購入費、飼育費が必要となる。
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