ハイドロゲルを用いた炭酸ガス経皮吸収による炭酸ガス治療のラット筋損傷モデルに対する効果について検討を行った。ブピバカインによる筋損傷モデルに対して、週2回下肢全体に20分間炭酸ガス経皮吸収を行い、2,4,6,8週時点での組織学的評価、生化学的評価、特に筋合成蛋白と血管新生因子について検討を行った。 筋重量は炭酸ガス治療群でコントロール群と比べて有意に増加した。組織学的にはH-E染色にて炭酸ガス治療群がコントロール群と比べて有意に筋線維の増大、修復が早期におこっており、約2週程度の治癒促進効果が見られた。これはLaminin-Dystrophin染色においても同様であり、炭酸ガス群において、基底膜の不整の修復が見られた。またIsolectin B4による免疫染色では、炭酸ガス群で有意に血管の増加がみられた。Realtime PCR法によるmRNAの定量では筋合成に働くMyoDと血管新生因子であるVGEFの発現増加が炭酸ガス群で見られた。以上から、ハイドロゲルを用いた炭酸ガス経皮吸収はによる炭酸ガス治療は、ラットの筋損傷の治癒促進効果があると考えられた。現在さらに組織学的評価の定量化(特に筋線維断面積の定量、血管数のカウント)を行っており、他にミトコンドリア関連因子やその他の筋合成系蛋白のRealtime PCRによるmRNAの定量的解析を続けており、この結論の裏づけを強固にするための追加実験を施行している。
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