本研究は神経生理学的手法を用いて,運動能力と体温調節機構における視床下部のドーパミンの機能的役割を検討したものである。運動能力を改善するとされ近年注目されている視床下部のドーパミン及びカフェインの中枢神経系に及ぼす影響に着目した結果,カフェインによる持久性運動能力の向上及び深部体温の上昇は視床下部におけるドーパミン放出の増大が関連すること,神経薬理的に脳内のドーパミンを遮断すると体温調節反応及び視床下部内のドーパミンが抑制され持久性運動能力が低下すること,カフェインによる持久性運動能力の向上及び体温調節反応の亢進は,脳内のアデノシン受容体を介したドーパミンの上昇に起因することを明らかにした。
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