研究実績の概要 |
本研究は、研究代表者が従来から検討を重ねてきた、押し込み量が大きな独自の据置型筋硬度計測装置(Pressure Meter: 以下PM)と超音波画像診断によるReal-time Tissue Elastography(以下 RTE)による筋硬度評価を詳細に比較検討する。RTEについては研究協力者の野坂和則氏のEdith Cowan大学から提供を受け、同大学にPMを持ち込み実験を進めている。 筋硬度変化から筋機能を評価するために、安静時、筋収縮時、筋疲労及び回復過程等の条件を設定する。このうち、平成26年度は、上腕二頭筋を対象に安静状態および筋収縮時のPMとRTEの比較実験を行った。安静状態の計測は、左右各3点の計測点を設定し21名を対象にデータを収集することが出来た。この結果、PMで計測された弾性率とRTEで得られたひずみ率(Strain Ratio :SR)にはべき乗関数で回帰可能な曲線関係が得られた。しかし決定係数は0.5程度で、SRとPMの弾性率間の推定精度は低かった。従って、PMとRTEの硬さ評価は異なる意味を持つ可能性がある。 一方、筋収縮においては最大随意収縮力(MVC)の15,30,45,60,75,90%を肘関節角度90,60,30度(最大伸展0度)の条件で16名を対象に比較を行った。MVCレベルの上昇とともにPM,RTEいずれも筋硬度の増加傾向が観察されたが、RTEのSRはMVC45%から60%でひずみ率が下限に達する例が多かった。一方、PMもその上昇率はMVC60%以降やや低くなるものの硬度の値は増加を示した。ここでも、両者の硬さ評価には不一致があり、同じ筋の特性を検出しているわけではないと考えられた。関節角度別の特徴については現在詳細な検討を行っているところである。
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