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2014 年度 実施状況報告書

プロテオームによる唾液中のストレスマーカータンパク質の探索

研究課題

研究課題/領域番号 25350824
研究機関大東文化大学

研究代表者

大城 聰  大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30160485)

研究分担者 蕪木 智子  大東文化大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (40339479)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードストレス / ストレスマーカー / 精神ストレス / 肉体ストレス / 小胞体ストレス / プロテオーム / マススペクトル / 唾液タンパク質
研究実績の概要

唾液は非侵襲的に採取できるあらゆる臨床的なサンプルの中で取り分け優れており、ストレスマーカータンパク質のサンプルとしては最適である。平成26年度は先行研究を検証しながら実験条件の確立及び血清のコンタミネーションのないラット唾液タンパク質のプロテオーム解析を目指した。1.ラットに精神的ストレスとして3日間、水浸拘束(小胞体ストレスが認められない条件)し、無麻酔、無固定下で唾液を採取した。各唾液腺から集まる唾液を採取し、専用脱脂綿に吸着させ、遠心分離によって唾液を採取した。唾液タンパク質の分離は10%SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)にて分画後、25KDa以下、25-75KDa、75KDa以上の3グループに分けて質量分析(MS)装置で測定を行い、対照群と比較した。その結果、既知のストレスマーカーと候補マーカー、未知タンパク質群が検出された。しかし、血清タンパク質が見出され、改善の余地が残された。2.唾液への血清の混入とタンパク質の抽出効率を改善する為に、麻酔下で穏やかに唾液採取し、PAGEによって分画した分子量25~50KDaの範囲内に限定し、増加するタンパク質のみ抽出し、プロテオーム解析した。その結果、血清由来タンパク質は見出されず、顎下腺タンパク質、既知の唾液タンパク質及び未知のタンパク質(分子量25~60KDa)が同定された。現在、同定されたストレスマーカータンパク質候補とその再現性について確認を行っている。3.また、上記の実験と並行して、トレッドミルによる運動負荷群の唾液マーカータンパク質の同定も実施している。確立された先行研究の条件に従って視床下部のc-Fos遺伝子の発現が有意に増大する25m/min、通算30minを負荷して後、唾液採取を行い、対照ラットの泳動パターンと比較して増減するタンパク質のプロテオーム解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

唾液を採取する際、麻酔法や唾液促進剤の使用の有効性に関する検証に加えて、共同研究者を新たな研究協力者として進めてきたが、所属する研究室責任者の定年に伴う研究環境の変化により研究継続のが困難になったことや、研究協力者の大学院学生の2名のうち、1名が大学院を終了し、終了後の研究協力の継続が難しくなったこと、研究分担者の国内留学に伴う研究体制にかなりの影響があった。また、唾液採取後にプロテオーム解析の依頼先の多忙さも困難を極め研究計画が遅延している大きな要因の一つとなっている。 現在、1年目の研究課題である精神ストレスの唾液マーカータンパク質のプロテオーム解析と2年目の研究課題である肉体ストレスの唾液マーカータンパク質のプロテオーム解析を同時並行して行っている。

今後の研究の推進方策

唾液採取法を確立し、精神ストレスによって増加するタンパク質をターゲットとして解javascript:onSave();析を進めており、精神ストレスのマーカタンパク質を優先して再現性を確認している。また、肉体ストレスとして、信頼できる先行研究をトレッドミルによる運動負荷の条件として採用し、唾液採取を行った。精神ストレスと並行して、運動負荷の場合も唾液タンパク質のプロテオーム解析を行う予定である。
ラットに対する精神ストレスと肉体ストレスによる唾液タンパク質マーカーの候補が出揃ったならば、ヒトの精神ストレス、例えば国家試験レベルの全国模擬試験受験者の中から希望者のみを募って、受験前後の被験者から唾液採取を実施して、ヒトのストレスマーカタンパク質の候補の解析を目指したい。大学院を終了した研究協力者の一人が加わることになり、更に唾液採取後のプロテオーム解析の依頼先が多忙さな場合は別の企業委託をするなどして研究効率のを図り、今後の研究を推進して行きたい。

次年度使用額が生じた理由

研究分担者の国内留学、研究協力者の研究環境の変化による大幅な戦力減及びプロテオーム解析の依頼先の多忙さや機器メンテナンス等により研究計画に大きな遅延が生じ、結果的に次年度使用額が生じてしまった。

次年度使用額の使用計画

複数の研究協力者及び複数のプロテオーム解析の依頼先を確保し、効率的に解析計画を実施していきたい。ラットの精神ストレスと肉体ストレスの唾液マーカータンパク質の研究成果は、今夏、国際神経化学会(オーストラリア)での発表を予定している。両ストレスマーカータンパク質の解析が完了した後は、ヒトの精神ストレスのプロテオーム解析を予定しているが、この解析には多数の被験者の唾液タンパク質のプロテオーム解析が必要であり、次年度に繰り越された研究予算は必要額と想定している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Proteomic analysis of rat saliva proteins for restraint stress biomarkers2015

    • 著者名/発表者名
      Satoru Oshiro, Masaki Suimye Morioka, Nobuo Nishiyama, Shin-ya Kadowaki, Ikumi Tanabe, Takehito Sugasawa, Yuya Iwasawa, Hiroshi Tanaka and Tomoko Kaburagi
    • 学会等名
      25TH MEETING OF THE INTERNATIONAL SOCIETY FOR NEUROCHEMISTRY
    • 発表場所
      Cairns, Australia
    • 年月日
      2015-08-23 – 2015-08-27
  • [学会発表] プロテオームによる精神ストレス負荷後の唾液ストレスマーカーの探索2014

    • 著者名/発表者名
      大城 聰、森岡勝樹、蕪木智子、田中博、菅澤威仁、岩沢勇也、西山信夫、門脇真也、田邉いくみ
    • 学会等名
      第36回日本生物学的精神医学会・第57回日本神経化学会大会合同年会
    • 発表場所
      奈良県文化会館
    • 年月日
      2014-09-29 – 2014-10-01

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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