研究課題/領域番号 |
25350828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
衣笠 竜太 神奈川大学, 人間科学部, 准教授 (10409378)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アキレス腱 |
研究概要 |
本研究の目的は、アキレス腱の屈曲点が出現するメカニズムと屈曲点がもつ機能的意義を明らかにすることである。平成25年度の実績として、「Inter-Aponeurosis Shear Strain Modulates Behavior of Myotendinous Junction of the Human Triceps Surae」と題する原著論文がPhysiological Reportsに掲載された。下肢筋の腓腹筋側の腱膜とヒラメ筋側の腱膜は隣り合わせに配置され、腓腹筋遠位端よりも下方で接合される。この点は筋腱接合部と呼ばれ、アキレス腱に接続する。これらの腱膜は筋収縮中に変位するが、両腱膜の変位量の差が最小の時に、筋腱接合部の変位量が最大となることがわかった。この仕組みは、隣り合う筋と腱が極力同じタイミングで同じ仕事量を行った時に、最も効率よくアキレス腱を動かす(=張力が発生する)ことが可能であることを示している。アキレス腱の屈曲点は腱そのものに張力がかかることによって発生する。したがって、当該論文はアキレス腱の屈曲点を考える上で、非常に重要な知見となっている。 また、MRIを用いた屈曲点の位置同定と屈曲点付近の筋と脂肪の力学特性の計測、超音波を用いた屈曲点の出現とヒラメ筋遠位端との関連性、光学顕微鏡を用いたアキレス腱膠原線維の配向性、をそれぞれ推進した。計画は概ね順調に進展しており、現在、投稿論文の執筆を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MRI対応ダイナモメータは、MRI装置内で使用するため、非磁性体で製作される特殊な筋力測定装置であり、これを開発した。このダイナモメータとMRIを用いた屈曲点の出現部位の同定と屈曲点付近の筋組織と脂肪組織の変位測定は終了した。また、超音波を用いた屈曲点の出現とヒラメ筋遠位端との関連性、光学顕微鏡を用いたアキレス腱の膠原線維の配向性観察、いずれも終了した。いずれもデータ分析、統計処理も完了し、投稿論文の執筆を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、屈曲点の機能的意義を明らかにする。具体的には、シンプルな数理モデルを用いてアキレス腱屈曲点の有無が力と速度の発生に及ぼす影響を調べる。力はモーメントの釣り合いから、速度は骨の移動時間と腱長変化から、それぞれ算出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
MRI対応ダイナモメータの開発のため、複数回の渡米を予定していた。しかし、電話やインターネット会議などを利用したため、想定した渡米の回数を下回った。 計画は概ね順調に進行しており、現在までに多くのデータを取得できている。次年度使用額は、データを発表したり、関係の研究者と議論するための旅費として使用する。
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