研究課題/領域番号 |
25350829
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40253926)
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研究分担者 |
與谷 謙吾 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 講師 (10581142)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 老化 / 骨代謝 / メカニカルストレス / 筋収縮 |
研究概要 |
平成25年度は若齢期ラットを対象として、不動による筋骨格系の萎縮軽減のための電気刺激法の研究を実施する計画であった。下肢不動モデル動物を作成するために、神経凍結法を用いて坐骨神経の凍結損傷により、一過性の不動モデルラットを作成可能にし、下肢骨格筋及び骨の萎縮を惹起することを実現した。除神経後1週間で筋量及び骨量は有意に低下することが確認できた。また、それらの不動ラットに筋電気刺激の効果を検証するため、低・中・高の3種類の電気刺激強度で1日30分間の刺激を1-3週間実施した。その結果、骨量については、強度が16mA以上(高強度)でその低下を軽減し、萎縮の進行を緩徐にする効果があることが明らかになった。筋量については、強度が8mA以上(中及び高強度)で効果が認められたが、高強度では筋細胞の超微細構造(興奮収縮連関などに関係する内膜系)の崩壊が回復せず、機能的な回復を十分達成できないのではないかと推察された。電気刺激で誘発された筋張力は、腱を介して骨を牽引し力学的ストレスを与える。今年度は、経皮的電気刺激の強度が16mA強度で誘発された場合に、骨量低下を軽減するだけの力学的ストレスを誘発できた可能性が示唆された。有効な電気刺激強度で誘発される筋張力が実際どの程度であるのかを理解するために、その張力を実測すると、最大筋収縮張力の約30%であることが解った。比較的低強度の力であっても、骨萎縮を防止することはできないが、萎縮スピードを遅くすることができるということは、回復モデルにおいては、不動による萎縮-回復過程においてよりスムーズで早い回復を可能にするという意義が本年度の成果から示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度における研究目的に掲げた、不動モデルラットの骨格筋に直接電気刺激を行い、誘発された筋収縮張力によって廃用性骨萎縮の防止がどの程度可能か、また有効な力学的刺激強度はどの程度であるかについて、実験がすべて遂行され、関連データを分析できた。またこれらの成績の一部を国際学会及び国際雑誌に公表でき、当初目的に対して十分な成果を上げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
不動による萎縮筋への電気刺激の骨量低下軽減への効果が、どのような過程を経ているのかを検証することが機序解明の一助となる。すなわち、現在のところ1)電気刺激誘発性の筋収縮張力といった力学的因子(メカノトランスダクション機構)、並びに2)筋収縮によるサイトカイン(マイオカイン)が近傍の骨組織に影響する可能性としての液性因子が候補として挙げられる。メカノセンサーとして働くとされるstretch-activated (SA) channelが関与しているかを検証するために、その阻害剤を用いて電気刺激の効果が消失するか否かを実験し、まず力学的因子の関与を検証する方策である。
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次年度の研究費の使用計画 |
購入予定の機器がキャンペーン価格で割安となったため、低価格で購入でき、効率的な予算執行が可能となったっため。 生じた次年度使用額と合わせて、実験消耗品の購入に充てる計画である。
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