本研究は、一過性運動により骨格筋と同様に、脳のモノカルボン酸輸送担体(MCT)が増加する効果とそのシグナル因子を検証することであった。一過性運動により、ニューロン特異的なMCT2発現量の増加が認められた。脳部位によっては、MCT1とMCT4の発現量も増加した。さらに、運動が脳領域特異的なMCT発現量を増加する因子を検証した結果、脳内の乳酸や脳由来神経栄養因子(BDNF)は、MCT2発現量を増加させるシグナルとなる可能性が示された。本研究の結果から、運動によって、骨格筋と同様に、脳のMCT発現量が増加する。この適応にともない、ニューロンへの乳酸取り込みが増して、脳機能が高まることが期待できる。
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