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2013 年度 実施状況報告書

青少年の「熟慮型」意思決定能力が危険行動防止,積極的健康に果たす機能

研究課題

研究課題/領域番号 25350841
研究種目

基盤研究(C)

研究機関兵庫教育大学

研究代表者

西岡 伸紀  兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90198432)

研究分担者 小川 和久  東北工業大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00224098)
鬼頭 英明  兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (90161512)
竹西 亜古  兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (20289010)
有園 博子  兵庫教育大学, 学校教育研究科(研究院), 教授 (70282366)
森 良一  国立教育政策研究所, その他部局等, 研究員 (50515210)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード意思決定 / 危険行動 / 積極的健康
研究概要

日本語版の意思決定能力尺度の作成のため,Miller, DC(2001)らが開発した熟慮型意思決定尺度Decision-Making Competency Inventory(以下DMCIとする)を翻訳し,信頼性を調べるため,4大学の1,2年生の未成年433人を対象に質問紙調査を行った。また,積極的健康の指標の一つとして,標準化されている社会的スキル尺度KISS18,危険行動として飲酒,イッキ飲みを取り上げた。その結果,DMCIのα係数は,男子0.743,女子0.720,全体0.728であり,各質問の回答の偏りも見られなかった。一方,KISS18については,α係数は男子0.915,女子0.899,全体0.908であった。また,DMCIと飲酒経験,イッキ飲み経験との間には,男女いずれも,有意な関連は見られなかった。未成年を対象としているものの,飲酒とDMCIの間に関連はなく,飲酒を危険行動の一つとする強い根拠は得られなかった。また,DMCIとKISS18との相関は,男子0.255,女子0.236,全体0.246であり,弱いながらも有意な相関が得られた。積極的健康の指標として,社会的スキルは候補の一つと考えられた。
次に,大学生40人を対象に,1週間間隔の再テスト法により信頼性を求めた。その結果,2回の結果の相関係数は0.729であり,2回の測定の平均値に有意差はなかった。DMCIの内的整合性及び時間的安定性はKISS18に比べると低く改善の余地があるが,使用可能性は示唆された。
一方,調査項目の検討のため8月に全員参加で会議を行った。その結果,米国のHECATなどを参考に,熟慮型意思決定と関わりが強い危険行動,積極的健康に関わる行動を明確化すること,高校生に対する意思決定の振り返りのFGI,資料分析などにより危険行動等の形成に意思決定が果たす機能を明確にすることが挙げられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究目的は,青少年用の日本語版熟慮型意思決定尺度DMCIを試作することであった。未成年の大学生を対象として調査結果から,調査内容については,意思決定尺度は微修正で,積極的健康については項目を追加することで,また,調査マニュアルについても微修正で,いずれも完成できる見通しにある。一方,危険行動の調査項目については,代表的な危険行動である飲酒行動の有用性が小さく,中学生や高校生を対象の調査であり倫理的配慮が特に重要であることも踏まえ,調査可能性を慎重に吟味する必要がある。

今後の研究の推進方策

まず,DMCI尺度を改訂する。具体的には,程度を示す副詞の適切な削除,二重否定など複雑な表現を簡略化し, HECAT等の分析結果から危険行動を抽出し,筆者らの危険行動調査の経験を踏まえ,予備調査票を試作する。さらに,中高の教員に調査実施可能性を依頼し,調査項目や質問文等を修正した後,中高生に対して予備調査票による調査を行い,因子分析により項目を精選し,調査票を完成する。また,危険行動等に関する調査であるため,綿密な手順が求められるので,調査実施者である学校教員のための調査マニュアルを作成する。
次に,完成した調査票を用いて,10月~12月頃にかけて,中学生及び高校生の意思決定能力,危険行動,積極的健康に関する全国調査を行う予定である。調査対象校は,減額された予算を勘案して規模を縮小し,層化無作為抽出により,全国から中・高校各30校程度を選ぶことになり,中・高校生の全学年について合計8,000人程度が対象になると予想される。対象校の抽出では,対象校を各都道府県から抽出することは難しいので,複数の県を含む地方を抽出母体にする予定である。実施に際しては,まず,対象校に調査協力を依頼し,承諾を得た後,調査票及び調査マニュアルを郵送し,当該校の教員により調査を実施していただく。なお,調査協力校が余りに少ない場合には,さらに調査協力を依頼する。
回収された調査票は順次データ入力され,データセットが完成次第,性差,学年差などの簡単な分析を始める。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は,会議及び情報交換が中心となり,旅費が主な支出になった。また,平成26年度に全国調査を行うため,代表者は昨年度支出を挙力控え,全国調査の費用に充てることとした。
平成26年度は,中高各30校,8000人程度を対象として,意思決定能力と危険行動等に関する全国調査を行うため,研究代表者の研究費はほぼ全学をそれに充てる。また,研究分担者の分担金は,全員が集まる会議の旅費及び最低限の消耗品として使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 大学生を対象とした「自己調整型」意思決定能力尺度の信頼性に関する予備的研究2014

    • 著者名/発表者名
      西岡伸紀,鬼頭英明
    • 学会等名
      第23回日本健康教育学会
    • 発表場所
      札幌市教育文化会館
    • 年月日
      20140712-20140713
  • [学会発表] 中学生におけるセルフエスティームと意志決定スキル,目標設定スキルの関連(2)-SE下位尺度とスキル各項目の関連性-2013

    • 著者名/発表者名
      今石愛実,三船美里,鬼頭英明,西岡伸紀
    • 学会等名
      第60回日本学校保健学会
    • 発表場所
      聖心女子大学
    • 年月日
      20131116-20131117
  • [図書] 学校保健ハンドブック(第6次改訂)2014

    • 著者名/発表者名
      教員養成大学保健協議会(野津有司,岩田英樹,笠井直美,栗原淳,中薗伸二,西岡伸紀,渡部基編)
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      ぎょうせい

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公開日: 2015-05-28  

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