研究実績の概要 |
【目的と研究概要】医師の燃え尽き度とワークライフバランス実現度の把握を行い、両者の関係とこれらに関わる内的・外的要因を検討した。また、介入による約2年後の燃え尽き度・ワークライフバランス実現度への効果を調査した。なお、医師の状況を掌握する目的で、同じ大学病院に勤務する看護師・薬剤師・技術職員・事務職員に対しても同様の調査を実施した。 【対象と方法】長崎大学病院に勤務する職員に調査票を配布して、回答を回収した。のべ回答数は2,517 例であり、 第1回目調査(2,269人)の回答者数 1,226名(回収率54.0%)、第2回目調査(2,354人)の回答者数 1,289名(回収率54.8%)であった。調査項目は、勤務・私生活の状況調査の他、ワークライフバランス実現度の判定(質問41項目)、燃え尽き度に関する評価(質問17項目)であり、前者判定は5つのカテゴリー(病院、仕事の管理、人事管理、仕事と生活の時間、職場・仕事と生活に対する評価)であり、後者判定は3つのカテゴリー(情緒的消耗感、脱人格化、個人的達成感の低下)とした。 【結果】①職種(医師・看護師・薬剤師・技術職・事務職)間、医師においての職位(教授・准教授+講師・助教・医員・研修(修練)医)間で、多くの因子に有意差が認められた。②燃え尽き度とワークライフバランス実現度の各因子の関係を検討すると、医師において、「仕事と管理」と「脱人格化」、「人事管理」と「情緒的消耗」、「職場・仕事と生活に対する評価」と「個人的達成感の低下」の間に有意の関係を認めた。③配偶者の有無は男性においては有意に負に働く因子が認められ、逆に女性では有意に正に働く因子が認められた。既婚男性で子の有無は有意の影響は見られないが、既婚女性では子を有していると数個の因子が有意に高値(良好な影響)であり、配偶者のいない男性・女性職員では、子の有無の影響は大きく異なっていた。
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