研究課題/領域番号 |
25350849
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
久保田 恵 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (80254564)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 骨密度 / 地域高齢女性 |
研究概要 |
地域在住女性の脂質代謝異常や動脈硬化症の進展と骨密度に関する検討 健康日本21(第2次)では、脂質代謝異常をはじめとする生活習慣病の発症・重症化予防とロコモティブシンドロームの予防による高齢期の身体機能・骨密度の維持が重点課題となっている。特に女性では閉経により脂質代謝異常症や動脈硬化症を惹起することが知られているが、骨密度の変化との関連は十分に解明されていない。そこで、岡山県在住女性を対象に脂質代謝や体脂肪と骨密度の変化の関係を追跡調査により検討する。本年度は初年度でありベースライ調査を実施した。研究協力者は地域在住の50~65歳の女性109名であったが、うち脂質代謝異常の服薬治療者と月経不順者を除き62名を対象とした。内訳は閉経直後群(閉経後5年未満)28名、閉経群(閉経後5年以上)34名であった。更に各群をBMIと体脂肪率から体格を分類し、閉経直後群やせ1名・普通15名・肥満12名、閉経群やせ3名・普通14名・肥満17名であった。閉経直後群及び閉経群の各普通と肥満群間の体重・体脂肪率は有意差はなかった。踵骨骨密度は閉経直後群が閉経群より有意に高く、いづれの群でも肥満>普通>やせの順であったが、閉経群のみ有意な差であった。血中レプチン濃度は閉経直後群が閉経群ともに肥満群では普通・やせ群より有意に高値であった。一方血中アディポネクチンは閉経直後群と閉経群では有意な差は認められず、閉経直後群、閉経群ともにアディポネクチンと骨密度との間には負の相関が認められた。閉経直後群、閉経群の栄養摂取状況を体格別に検討したが、カルシウム摂取量等に有意な差はなかった。対象の1日当たりの豆腐と納豆摂取量から大豆イソフラボンの摂取量を概算したところ、閉経直後群ではレプチンやアディポネクチン量との有意な関連は認められなかったが、閉経後群の骨密度は概算摂取量と正相関の傾向がみられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験においては、飼育中の最後の方で給水状況が悪くなり(給水口の不良)、糖尿病による体重現状が著しいものや死亡数が半数近くになってしまったことから、実験ができなくなったため。給水の不良については設備保守を行い、本年度は問題なく実施できる状態になった。 人対象実験の方は、協力被験者は多かったが、脂質代謝異常の服薬や、完全な閉経後群ではないもの(不順期の者)を対象から除いたため、予定数より少なくなった。今後は別地域での研究協力者の開拓も行い、被験者数の確保に努める
|
今後の研究の推進方策 |
研究1「閉経+肥満」モデル動物の脂質代謝・骨代謝に関する研究では、実験動物をよりメタボリックシンドロームの症状が明確に出現するJcl / SDTを肥満群モデル動物とし、対照群をJcl/SDとして使用する。このモデルでは自然に2型糖尿病を全例が発症する期間が40週であるため、飼育期間を40週に延長して検討する。4週齢Jcl / SDT雌ラットとJcl/SD雌ラットを閉経肥満モデル①:SDT/OVX/高脂肪食、②:SDT/OVX/普通食、対象モデル③:SD/OVX/高脂肪食、④:SD/OVX/普通食とし40週間の飼育終了後、骨密度測、血中エストロゲン・レプチン、アディポネクチン濃度、オステオカルシン濃度を測定し脂質代謝と骨密度の関連を検討する。 研究2 閉経後女性の脂質代謝異常や動脈硬化症の進展と骨代謝に関する研究 H25年度と同様の対象においては継続して縦断調査を行い、閉経に伴う脂質代謝異常や動脈硬化症の進展と骨代謝の関連を明らかにする。測定項目は身長、体重、体脂肪率、レプチン、アディポネクチン濃度、踵骨骨密度を測定。同時に食事調査を行い、対象の現在の栄養摂取状況や大豆イソフラボンの摂取量を概算し骨密度や脂質代謝との関連を検討する。別途閉経後5年以内の中高年女性を対象に食事群(イソフラボン摂取)、運動群の別に1年間の介入研究を実施し、継続群と同様の検査項目を実施する。
|