女性は閉経により脂質代謝異常症や動脈硬化症を惹起することが知られているが、骨密度の変化との関連は十分に解明されていない。そこでメタボリックシンドロームの症状が明確に出現するJcl/SDTを肥満群モデル動物とし、対照群をJcl/SDとし、7週齢で卵巣摘出手術を行った後、閉経肥満モデル①:SDT/OVX/高脂肪食、②:SDT/OVX/普通食、対象モデル③:SD/OVX/高脂肪食、④:SD/OVX/普通食とし40週間(55週齢)で飼育終了後、骨密度測、及び血中脂質、アディポネクチン、レプチン、オステオカルシン、レプチンの分析を行った。実験群①及び②は飼育期間中に全例が高血糖状態を呈した。また実験群①②は20週以降体重が減少し、飼育終了後は実験群③④のそれぞれ52%と57%と有意に低値であった。血中脂質濃度に関しては総コレステロール値、TG値は①群で有意に高かった。アディポネクチン濃度は、実験群では高脂肪食群が有意に高値であったが、対照群の高脂肪食群と比較し有意な差は見られなかった。レプチン濃度は体脂肪量と比例しており①、②群で有意に低くかったが、①②群間では食餌の脂肪量による有意な差は認められなかった。オステオカルシン濃度は①②群で③④群に比し有意に低値であり、同群間では高脂肪食群が高値の傾向にあった。大腿骨の骨幹端部、骨幹部の骨密度をpQCT法により測定するとともに、脱灰パラフィン標本のHE染色により組織学的検討を行った。骨幹端部、骨幹部ともに全骨密度及び海綿骨密度は①と②群では低値であった。以上のことから、閉経後女性のおいては肥満はに高血糖状態を呈する場合は、低骨代謝回転を呈し、骨の脆弱性に影響を及ぼすことが示唆された。
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