久慈地域の肥満状況を把握するため、1年目、2年目に引き続き、最終年度も全小学校の全学年の身体測定値を収集した。平成27年度は、男子では4年生で最も肥満割合が高く約20%であった。全学年で岩手県と全国の平均を上回っていた。女子は、6年生で最も肥満割合が高く約24%で、3年間を通して20%を超える肥満割合だった。研究最終年となる平成27年度は、前年度に実施した介入研究の結果を詳細に解析した。介入群(3校)と対照群(12校)の各群で、介入前後の肥満児童の割合を解析した結果、有意な差はみられなかったものの、食・生活習慣及び健康に関する知識・意識のアンケート項目については、介入群で、夜食の回数の減少や給食等の食習慣においてプログラムの効果がみられた。また、両群で、生活習慣病の知識、家族と病気や健康について話すことで効果が示された。同様のアンケート項目について多肢の回答を2肢に再分類し、介入前後で「改善・維持」と「悪化・不変」の2群に分けて両群を比較したところ、介入群では、夜食の回数の減少、生活習慣病についての知識、健康や病気への関心の項目で改善がみられた。今回の研究を通して、短期間での肥満改善はみられなかったが、小学4年生の段階で保健教育を行うことで、知識の習得や行動変容に結びつくことが示された。介入校3校で学級担任と研究者との共同保健授業を2回実施したが、学校現場で新たに2時間を確保することは難しいという養護教諭からの意見を踏まえ、パワーポイントで同様の内容(動脈硬化と糖尿病)の2つのショートプログラムを開発した。各学校の現状によりプログラムをアレンジできるように工夫し、岩手県内の小学校での活用を考え、県や市町村の教育委員会を通して配布した。
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