研究課題
2015年度も数多くの成果が得られた。隠れ肥満の状態はPWVなど動脈硬化の指数が悪化するが、アミノ酸の一種である血中ホモシステイン(Hcy)は動脈硬化の進行に関与することが知られている。また葉酸、ビタミンB12 、B6の不足は、血中Hcy濃度を上昇させるとされている。そこで血中Hcy濃度と動脈硬化の関係を評価し、血清ビタミンB12 、葉酸濃度との関係について検討した。その結果、IMT値は男女とも年齢、血圧、A1cと有意な正の相関を示し、Hcy値との間も強い正の相関が見られた。頸動脈プラークとHcyの関係では、男女ともプラーク(+)群の方が(-)群よりも有意にHcy値が高値であった。IMT値を目的変数とし、血圧・A1c・脂質・Hcyを説明変数としたステップワイズ法による重回帰分析では、全体と女性において血圧・A1cに加えHcyが選択され、結論として血中Hcy濃度は動脈硬化の進行に関係し、ビタミンB12と葉酸の不足は、血中Hcy濃度の上昇を介し動脈硬化促進的に作用する可能性が示された。本研究はHealth Evaluation and Promotion(日本総合健診医学会英文雑誌)に7月掲載野予定である。また、隠れ肥満では低HDLコレステロール血症が見られ、これが冠動脈疾患発症のリスクとなるが、HDL-Cの質的評価の観点からHDL-C亜分画について検討した。その結果、隠れ肥満に続発する脂質異常症およびメタボリック症候群では、いずれもHDL-Cにみられた有意性はHDL2によるものであり、HDL3は関与しないことが示され、亜分画間での相違が見いだされた。さらに、隠れ肥満では脂肪肝有所見者が数多くみられ、男性では血清フェリチンの上昇とともに肝障害へのリスクが増す。この点に関する検討で、基準値範囲内外においてフェリチンと8OHdG、肝機能が相関することを捉えた。
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Health Evaluation and Promotion
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